第14章 鮮やかな日々よ
『腹を休ませろー?』
「やだ。休ませまっせーん!
僕的にいっぱい子供欲しいもん。天才最強の僕の子孫だよ?それに大好きなハルカとの子って言ったらひとりだけとかやだもん、兄弟いっぱい作らなきゃ。だからお腹を休ませないに決まってんじゃん、年子確定ですねー」
『まじかよ…(まじかよ…)』
……その件は置いておき。
実感は無くても地獄のような日々から逃れて早速幸せが待っているなんて思ってなかった。嬉しいに決まってる。
目の前の席から伸ばされた手は私の頭に置かれて優しく撫でる。じわじわと遅れてやって来る感情。
『奥さん……ね。じゃあ悟が旦那さん……』
手が引っ込まられて悟は口元をその手で急いで隠した。
「ン゙ッッ……!そ、そういうコトになるね、ウン……夫婦、かあ~…。フフ、紙を提出しただけで恋人から夫婦になってさ。あんまり生活とか僕らの関係、今までとそう変わりないのにさ。なんだか夫婦って…こそばゆいね?」
ちょっと恥ずかしそうに笑う悟に、なんだか私も恥ずかしくなって同じく笑う。
カンカンコン、とチャーハンをスプーンで寄せている悟は、手元から私を見上げた。
「ハルカも呪術界の大事な人材、日々の勉強や呪術に関しての経験を積む事は重要だからすぐに復帰して貰うんだけれどー…。
大事を取って明日は自宅療養。つまりは9回目のデートはお部屋デート!……するでしょ?」
『そんな昨日の事……もがっ』
昨日の脱獄はデートに含まれてたのかよ、と言いたいのは口に突っ込まれたチャーハンで揉み消され、文句を言う時間を与えることなく9回目のデートは決行となってしまった。