第14章 鮮やかな日々よ
「……ハルカがさ、栄養失調っていうからなるべく色んなものを入れようって努力してみたんだけど。どう?美味しい?」
にこにことしてチャーハンの山からひとすくいすると悟自身も食べている。スプーンは一本だけ、それで交互に食べていくつもりらしい。
口に突っ込まれた最初のひとすくい。
美味しい、丁寧に刻んで炒めてたであろういろんな具材が入ってる。見た感じ通常のチャーハンにある卵や肉もそうだけれど、パプリカが赤と黄色の2色入ってる。食感的にレタスも入ってたな……ああ、チャーハンの山から見えるもん、レタス入ってるわ。
他も把握できないけれど具材が細かく刻んで入れてあり、見た目も凄くカラフルで。
そっと冷めないうちにスープを飲む。
薄くスライスした玉ねぎやわかめ、少しかき卵。少しとろみが掛かっていてふわっと香るのはごま油。
『流石何でも出来る天才か、すっごく美味しいです』
褒めれば緩み、そしてドヤ顔となる悟。
「お口に合ったようで何より。この呪術界の天才かつ最強とも謳われながらも裏では料理長である五条悟…わが料理長人生に悔いなし」
『そういうさー、すーぐ調子こく所が残念ポイントだよなー』
「あ゙あ゙ん?」
ずぼ、と多めに盛られたスプーンのチャーハン。にたにたしながら口を開けろと顎でしゃくって催促する目の前の男。
目の前にはこんもりとスプーンに乗ったモノ。顎を外す気かこの男は、と口を開けると突っ込んで、スプーンを回収していく。流石に山盛りじゃこっちに差し出すまでに零れてしまっていて、ぽろぽろと落ちたものを悟は拾って食べてる。
もぐもぐ食べている私を見て悟は頬杖をつき、片手のスプーンの柄の先端を持って遊ばせていた。
「ふふっ……なんだかこの光景、新婚生活みたいだねー」
『んんっ!……げほ、変な所に入りそうになったんだけど。そういう寝言は寝て言ってくんない?』
にこにこしてる悟は「あっ」と思い出したような顔をしてさっきよりも楽しそうで。なにを思いついたんだか。
「そう言えばハルカ。"保険"出しちゃったー」
『んあ?保険?』