第14章 鮮やかな日々よ
まだまだ揚げたてで熱い唐揚げ。生姜の味が生かされて、齧りついた瞬間から肉と皮の間の肉汁がぶしゅ、と出てきて火傷しそう。
もう片手の指先で、右の口の端からつうっ、と垂れてきた油を拭った。
でもこの火傷しそうな熱さよりも旨さが上回ってるの。これは久方ぶりにハイボールを飲みたい所だけれど流石に冷蔵庫にハイボールは買って置いていない。
『あっふ…!んー…ンマァイ!けどやっぱアツアツッ!』
「……ん?あっ!この子つまみ食いしてるわン!ンまーっ!いけない子ねっ!めっ!って言ったでしょー」
めっ!と言いながら頬を膨らませ、こっちを見ながら怒る悟は、何度もフライパンを揺すってる。珍しい、いっつも子供っぽいのは悟の方なのに。本日は部屋に悟ママが降臨してる。
動きやちらちら見えるご飯や具材からチャーハンを作ってるのが分かった。
『めっちゃ美味しいんですけどー……あーあ、惜しむべきはハイボールの存在…流石に置いてないもんねー…』
「病み上がりはお酒控えてちゃんとしたもの食えっちゅう話。僕の分一個移動しておきなよ、運んでる時めちゃくちゃキミ軽かったんだけど。そりゃあぶっ倒れるよねー」
『太りつつあったからね、拉致られる前…』
デートの度に、というよりも日常的に甘いものを食べていた。主に悟が食べるついでにという感じに。
外食すればデザートを、コンビニに寄ればコンビニスイーツを。
たまに部屋で寛いでる時にふらっと居なくなった、と思ったらコンビニにいつの間にか行ってて(コンビニ行くのに呪術を使うなって話……)深夜の背徳感、甘いものを食べたりすればウエイトもマシマシというわけで。
ちら、とこちらをたまに見ながら調理をしている悟は首を傾げる。
「そうか~?連れて行かれる前もそんなに太って無かったでしょ?全部えっちする時に消費されたんじゃないの?あと余分なモンは胸に保管されたとか。
ほら、太るってオマエさ言うから激しくえっちしてたじゃん。三週間のセックスレスで忘れたってなら思い出させてやろうか?」
振り返り、笑うサングラスの下の口元。
頻度の高い回数、間を開けたのならば久しぶりの時にする行為はえげつなさそう。
思わず苦笑いも出る。