第13章 磨りガラスの想い出
スーツの集団じゃない、その姿は黒を多く占めていても懐かしい"制服"だった
『……え、』
なんで、ここに居るの?虎杖。
ぽかんとする私の前で虎杖が驚いた表情をして、通路の先に叫んでる。
「うおっ!?い、居たっ!先生ー!こっち!」
近付く駆けてくる足音、次に現れたのは伏黒。
ふらつく身体でもた、と一歩前に出る。鉄格子までまだ距離はあった。
『いた、どり…に伏黒……?なんで、ここ……、』
虎杖と伏黒。離れた位置から駆けてくるまた複数の足音。
早すぎ!と文句をいう聞いたことのある声、これは…野薔薇の声?じゃあ、クラスメイト達がここに来てるって事…?
スパイとして龍太郎はリベルタに潜入していたとしても、その突入してくる日なんて全く伝わって居なかった。そもそも檻の中に最近来ないから情報が入ってこないし、それについては仕方がない事なのだけれど。
いつぶりだろうか、懐かしい顔ぶれに静かにもたもたと一歩、また一歩と歩み寄る。
心配そうな顔をした虎杖。驚いた顔の伏黒は視線を少し下に降ろす。
「おい、その腹の……大丈夫か?」
『あ、はは…これ?いや、さっきね、色々あってさ。大丈夫なわけが…、』
「あっ!」
虎杖が背中を見せて何かに手をのばす。それは私が散々痛めつけられた電気ショックのリモコン。
まずい、あの髭野郎、ワイヤーそのままで行っちゃったからそれを稼働させられたら……っ!
『ちょ、待っていっ、いたどっ……それはやめ、』
「ここから出してやるからなっ!」
縛りを強要する為の痛み。凝った作りなど必要が無かったらしくただオンとオフだけ書かれている。強さの調整なんて要らない、私が苦しむのはここまでが限度という風に設定がされていたから。
それを分からずに虎杖は檻を開けるためのものかと思ったらしく押してしまった。
パン、バリバリバリ…っ!
『うっ、ぐっ…、あ゙あ゙あっ!!』
ワイヤーの下、拘束された自身の両手、血塗れの服をぎゅっと握りしめてひたすらに耐える。
朝に食らって今度はクラスメイトからのサプライズだ……あの髭のさっきのよりはかなりマシなんだけれど。
「馬鹿お前!殺す気かっ!?」