第2章 視界から呪いへの鎹
『ん、ふふ……悟さんほどじゃ、ぷっ…はは!
ちょ、女の子がビンタして逃げていくのが容易に目に浮かぶ…っ、なるほど~…性格がその…ね?んふ…フスッ』
あははは、と声に出して爆笑した。清楚な黒髪の女の子なり、ブロンドヘアーの美女なり、パッチンパッチン平手打ちして去っていく光景が浮かんだから。
そして原因となりえる、性格が宜しくないという事を自覚しているという事。
笑いすぎたらしい。そりゃあ爆笑してしまったからなぁ…。口元はちょっとニヤケている悟に、私の頬を両側から抓まれてしまった。
『いひゃい、いひゃいぃ』
「キミねー笑いすぎなんだよなー…?」
頬を抓るのから開放されて、私は空気を帰るためにンンッ、と咳払いをした。笑いすぎてちょっと目尻に涙が出てきたのを手の甲で拭った。
『あれ、なんの話してたっけ』
「解読の話ね、はいはい、ちょっと失礼」
私の持っていた書物を手にサングラスの奥が忙しなく紙面を追っている。ページを捲り、とさっ、とステップに乱暴に置くと次の本を捲っていってる。解説・解読はなく悟が夢中でさくさく読んでしまっている光景。
こんなんそんなにスラスラ読めんのか?と思いながら忙しない視線から興味を持ち私も紙面を覗き込む。私だって読書はするけれど、あくまでも図書館や本屋さんにある機械で印刷されたフォントオンリーだからね。読めない訳じゃないけれど凄く時間掛かるし、多分この字はこれだろう!って仮説して読んじゃうから。
しばらく読んでいた悟は手を止めずに口を開いだ。
「へー…キミら春日家って、禪院家の血が混じってるんだね」
『禪院…って御三家のひとつだって事だよね?』
昨日聞いた言葉だったからその単語は分かる。うん、と頷いてまた紙を捲る悟。
え、という事は?
『春日は御三家の枝分かれみたいなもの?』
「うーん…ちょっと違うかもしれないね、スピーシーズばりに枝分かれした進化先での特殊変異みたいなモンで…」
『???』
「アッ通じてないや忘れて」
パタン、と閉じて悟はその場……畳に座った。私も目の前に座って話を聞く体勢にする。
頭で纏めているんだろう、悟は間を置き、説明を始める。