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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第2章 視界から呪いへの鎹


「天才だから、僕」
『……で、達筆すぎて解読がわけわからん事になってるけれど、この両手を祈るみたいに手を組むのが術なの?』

私自身も真似して手を組むも何も起こらず。指を組むのを止めて図解から見上げるとひねくれた顔してる悟がいる。サングラスは掛け直したようだ。

「そのスルースキルよぉ…」
『普通にこういう対応はスルーして良いでしょ、って思ってたけれど…?』

スルーせずに凄い!天才!などと言ってしまえば調子に乗るのが目に見えてる。
拗ねた子供…じゃなかった、悪戯小僧のような成人男性は顔を背ける。

「もうちょっと優しくしてくれないとそちらの解説には対応出来ないかもしれない!」

かもしれない、とは?
じっとその白毛の横向いたグラサンを見ながら"優しくか…"、と私は小さく呟いた。

『具体的には?』

「キスを迫っても良しとする心とか。あとチヤホヤされたい!」
『朝から懲りてないなぁ!そういうのは他の女の子に求めて下さい』

中身がどうあれ、きっとモテるでしょう。
わざわざ私のようなどこにでも居るような女…、悟に釣り合わないような女にそうやって求めて楽しいのかしら。
……派手な人に飽きて、世間知らずの反応が楽しいのかもしれない。なんにせよ、家柄も釣り合わないらしいし。
御三家、呪術界隈では有名な血族。その一方で私は身代わりをする事ばかり特化してるで生き残りがふたりのすぐにでも消えそうな一族、かなり白髪化の進んだ女。

不思議そうに、そっぽを向けていた顔をこちらに向けた悟。

「……他の女の子って?僕に?」

『彼女なり許婚なり居るような顔してるけど?そういう子にチヤホヤされるべきじゃないの…?私じゃなくて』

御三家で現当主とあれば、私のように許婚がいるはずだ。
居ずとも、狙って来る可能性も…。

「僕に女が居るって?……ははっ、僕さあ~、性格悪いから中身を知ったらみんな一目散に逃げていくんだよね」
『あっ…(察し)』

予想外の言葉。口元を抑えてそっぽを向くのは私。
急に込み上げてくる笑い。駄目だ、今笑っちゃ…、けれど面白いから無理だ。
肩を震わせながら堪えるも、明らかに笑いが漏れていた。

『じ、自覚……してたんだ…っ、性格、悪いの…!ぷっ、ふふふっ、』

「キミ失礼だなー…ほんっと失礼だよなぁー…」
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