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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第13章 磨りガラスの想い出


114.ゴア表現有り

最近、話し相手にもなり暇つぶしにもなる龍太郎と会う回数が極端に減った。彼が来なけりゃ情報が降りてこない……かなり忙しいみたい。
檻の中まで来ないからスパイだとバレて殺されてる、というわけでもなく、たまの実験とかで姿を見ることもあるし。向こうは向こうで情報収集が順調であれば良いのだけれど。

じっと座ったままに鉄格子を眺める。金回りが良くなったのか、私が脱走する確率を大幅に落としたのか、古風な鍵が最近になってリモコン式になっていた。締めるとオートロック。
ぶっちゃけ、鍵穴に鍵を突っ込むタイプだったら式髪に呪力が残っていれば開けられた可能性があった。開けたとしても外まで迷わずに出ていける確証が無いからしなかっただけで……様子見してる段階でセキュリティが上がったのはちょっと絶望的かもしれない。
外部に頼るしか無さそう。
はあー…とため息を吐いて、なにもない壁一面の方をぼうっと眺める。

私も龍太郎と同じ様に出番が多くて忙しくなった。目を回す程、という言葉があるけれど本当に目が回る、というか目眩がするほどに多忙になってしまった。
視界が閉ざされた中、他の感覚を頼れば頭から被ってきたのかという程のキツイ香水や私でも分かるくらいに安物じゃない香水の香り、老人の独特な匂い……膿の臭い。
治癒する回数を重ねて幾度に、見えないはずの相手がどういう状態から治っているかが段々と"なんとなく"で分かる様になって来ていた。高専での治癒よりも回数をこなしているから慣れてきた結果かもしれないけれど…。
ただ、相手の顔などは分からない。

普通に任された仕事をしてるのだから目も口を閉ざさなくたって良いのに絶対にそれは欠かさなかった。
口元のガムテープを毎度張られるのは辛い、何回か剥がされる毎に唇の皮が剥がれるから回復を行った。

昔悟に"キスマーク消したら二倍にする"って言われたなー、とその一部だけ回復しないっていうのを何度かやってるうちに上手くコントロール出来るようになった経緯を思い出し、部屋のベッドに座ってくすりと笑った。
……あ、今居るのはベッドじゃないか、布団の上だった。

薄明かりの下で過去を考える事しか出来なくなってる。余計な思考をしたくない、携帯もテレビも本も何ひとつ情報が無い。
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