• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第13章 磨りガラスの想い出


しかし相手(リベルタ)も警戒をしてるのか、伊地知さんの突っ込み、もしくは他の客からも指摘されたのか。入院着かどうかは分からない、けれども黒い上着を着ている。余計に怪しいと感じさせる服装に五条さんの言っていた、"頭が良いんだか悪いんだか分からない組織"という言葉を思い出した。女性に拘束具や似合わない上着……これは思い切り怪しめ、と言ってるようなナンセンスさ。

それでも隠しきれない血の様なシミや一部分の不自然な尖った膨らみは"何かがある"という事は確信させた。
ハルカさんからは耳からの情報しか受け付けないでしょう。だからといって私、七海であるという事を知られて騒がれてしまってはいけない。残酷ですがこの場では"七尾"として私は振る舞わなければならなかった。

「奇跡を起こす方、とは…そちらの方で?」

「はは…、奇っ怪な見た目でしょうがお許しを。目が見えないのですよ、なのでこうやって移動をしなくてはならないのです」

寺田がハルカさんを引き連れた女性にアイコンタクトをし、手を私の方へ向けると拘束具ごとハルカさんを私の太ももへと触れされる。

「…っ、」

私もここまでの怪我をした事が無かった。むくむくと切断したての膝下から肉が盛り上がっていく感触。それはむずむずとして痒みを覚えさせる。血の滲んだ包帯が弾けて床に落ち、もうあっという間にふくらはぎまで形成されて来た。これには笑みが溢れる。

「なるほど、これは確かに奇跡だ……、」

そして再生は進みつま先まで見事に再生が終わる。
足首が動く、足の指先まで動く。触れれば確かに"私の右脚"だとはっきりと分かる。
治療が終わったと拘束具を引っ張ってハルカさんを私から離す女性構成員。
ハルカさんに向けて声を掛けた。

「ありがとうございます」
『…』

一言も話せない。無理に顔を見ることは叶いませんでしたが口も塞がれているはず。それでも龍太郎さんから情報がいってるからもしかしたら私を認識しているかもしれない。
すぐに女性構成員に連れて行かれてふたりはドアから出、引き連れていた方が会釈をしてドアがバタン、と閉められる。
まるでインタビューでも受けられるかのような、寺田からの感想を求める声にそれなりの言葉を返した。


****
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp