第13章 磨りガラスの想い出
布団から抜け出し、服を着ていく龍太郎。いかにも復讐者です、という表情を顔に貼り付けてる。
「たっぷりと私の子種を蒔きましたので、しっかりと受け取ってご懐妊くださいね?ハルカ様…?」
蒔かれたのは外側、しかもリベルタのボスが諦めろと言ってた悟のなんですけれどね。
檻からクリミアにより出される龍太郎。一気に色んな意味で疲れた、変な汗もかいちゃったし。
『シャワーとか浴びたいんだけど?』
「分かりました、では…」
終わった、という事で風呂をクリミアにせがみ体を綺麗にして貰う。私の体を洗う彼女の動きがぴた、と止まりまた何も考えない顔で洗浄を続ける。
大丈夫か?これ……そういや外側に掛けて貰ったけれど中から出て無い筈だ。これで性交渉が無かったとバレてしまうかも……。
変にどきどきしながらも何も言わないでおく。余計な事を言って墓穴を掘ったら大変、私も龍太郎も。
汗も血も泡も悟の精液も、全てをシャワーで洗い流し、タオルで拭かれた後に着せかえ人形のように入院着のような服を着せられ、その後クリミアの呪術が体を貫く。
何度も何度も経験して痛くてもどうせ重要臓器は避けてるからむやみに暴れない方が良いんだ、とまで諦めモードになってきた。
クリミアは医療関係に詳しいんだと思う。そういう知識が見え隠れするから…。
彼女のアンカーは背後から呪具であるワイヤーを吸着し、背面から前方へと引っ張られていく。一瞬の強烈な痛みと持続する脈打つ痛み。
『…~~~ぐっ、』
「終わりましたよ、では本日のお客様に会う為に着替えを致しましょう」
今日も始まる、鵜飼いみたいな……怪我や病という"負"を回収し、呪力として溜め込んだ私からその溜めた呪力を奪われるという一日が。
暇であれば部屋でぼうっとしてられたのに。ああでも実験されるのに部屋から連れ出されるのは嫌だなあ、とクリミアに押されて部屋移動を始めた。
カツ、カツ、カツ……静かな空間に私達ふたりの靴の音だけが反響してる。