第13章 磨りガラスの想い出
ムカツクな、この人…!悟だったら毎日求めてくるのに勃たないとか!
小さくチッ、と舌打ちをして必死に悟を思い出す。
この人一応許婚なんだよな…?本当に一緒になってたら子作りどうしてたんだ?と疑問になる。選り好みしやがって…っ!
ちら、と自身の仰向けの身体に視線をやる。龍太郎が覆いかぶさり、片手で揉んでるけれどもぎこちない。やれやれ、揉んでやっか…くらいな心の声が聞こえてきそう。
……ここに来たってことは相当覚悟があっての事。とにかく、龍太郎の言う通りに今は従ってみよう。
恥を忍び、必死にそれっぽい声を出す。
『……あっ、んっ』
これで良いでしょ?と見ると小さく頷かれる。良いらしい。
引き続き龍太郎は行為をしてるように、と肌と肌が密着し、胸元から首筋へと擦り付いた。
「ああ……っ、そう、良いですよ……っ、そう来なくてはいけません…っ
(こちら、五条様の命で侵入をさせて頂いてます)
んっ…、もっと…っ!もっとその感じられている姿をっ、全て曝け出してくださいっ!ハルカ様っ……
(私は彼に恩のある身、現在スパイとしてここに居ます)」
これ、悟から龍太郎に命じてリベルタに潜入してるって事なの?と驚きが隠せない。小さくなんで龍太郎?と抜擢理由を聞いたら、彼から小さく"女児が生まれる確率です"と返された。つまり悟はこういう事も覚悟してスパイとして送り込んでる……。
考えれば安心感が桁違いだった。龍太郎が悟に言われて来なかった場合、違う男が私に充てがわれていた、という事。リベルタのボスは初日に言ってた、子供を作らせると。
ムカついたけれども龍太郎がここに来たのは正解。硬い状態になっていないのが証拠だった。
……って、見ちゃったじゃん!私も見られてるけれど!変に恥ずかしくなって顔に熱が灯ってしまった。
『やっぁ……ん、だめ、離して…っ
(つ、つまり私、もうすぐここから出られるの?)』
身体を互いに擦り寄せ、致しているフリを。
腹の辺りにやる気のない"龍太郎"がぺちぺち乗ったりすり寄ったりしているのが少し腹が立つけれど文句は言えない。逆に元気であればこの際ですから一発かましておきましょう!とマジでされて危ないし。