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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第12章 愛し君の喪失


そしてハルカが居なくなって12日が経過した。
送り出した伊地知が指先でメガネを直しながらハリボテの建物の中に失礼します、と入ってくる。
僕や学長硝子に傑、日下部に七海と勢揃い。床に円陣を組むように座って皆で伊地知を待っていた。

「伊地知、やっほー!元気になってんじゃーん!」

手をひらひらとさせて挨拶すると学長にどの口が言っている、と背中をバシン!と叩かれてゲホッ、と一度咽る。この人今手加減しなかったでしょ。
呆れたように傑が伊地知を自身の隣の空いた場所を手でとんとん、と軽く叩いて彼を呼んでいた。

「悟、いくらなんでも手荒過ぎるだろ。いくらハルカが治すことが出来るとはいえ手首の切断を硝子に頼んでまでするのはやりすぎだ。もしもの事を考えなよ」

「だってそうでもしないとハルカに直接会えないだろ?かすり傷じゃその辺のお医者さんに行って下さーい、閉店ガラガラーで終わりよ?」

その奇跡にありつけるのなら物語も必要。伊地知にはスパイスとして生徒想いな教師という、設定が現在の僕と被るけれども。
生徒たちにまだ様々な知識を教えきれてない!と嘘の感動を演じさせ、札束をちらつかせる。そのお金は僕が出しているもの。
本当に食いつくのかね?と思えば食いつきがとてもよろしかったようで切断した伊地知の手首はちゃんと新しく手首が生えてきているし。
高専とリベルタとの往復は成功、あとは情報を取れてるかの問題。それはこれからの話ってワケで。

もう帰る場所の無くなった、切断してる伊地知の手首の存在を思い出す。

「どうする?切った手首ミイラにする?」
「流石に処分したぞ……で、伊地知。ハルカの様子はどうだった?」

やや苦笑いだった伊地知も真面目になった。皆が発言を待っている。もちろん、彼女の安否が気になる僕だって。
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