第12章 愛し君の喪失
ふっ、と画面を見る為に中腰だった体を起こし、ハルカの机に腰掛ける。
……机に乗るな、とか怒る人はここには居ないのが寂しい。
「……うん、みーんなハルカが関係してるよ?元々注目されてたアスリートの子があんなに派手に演出したんだ、欠損して色々と困ってたり死の病でもっと生きたい人にとってはその奇跡に縋りたいんでしょ。
詳しく記者会見で言えないからあの選手本人に直接聞く。演奏家も有名人も政治家も…そこに載ってない、有名作家や某海外の有名人ってね…アスリート経由で紹介されてんの」
……これは七海からの情報なんだけれど。
ネズミ講なんだよね、一人から紹介されて奇跡を体験したらその人達が更に紹介をしてく。まずは金のある有名所からって感じだ。そこに物語があれば更に盛り上がる。
ふう、と呆れてため息も出るよ。
悠仁が椅子から勢いよく立ち上がり声を上げた。
「そこまで分かってんなら何で先生行かないの!?やつらに好き放題されてんだぞ!?」
……言われなくとも行きたくてうずうずしてるさ。早く会ってぎゅっと抱きしめて助けるのが遅くなってごめんねって。
でも行けない理由があるから行動が出来ないワケで。
「悠仁ー…僕だってすぐに向かいたい気持ちでいっぱいよ?でも今は泳がせて全員揃った所を討たないと駄目だ。
前に言ったでしょ?過去に取りこぼして放置されたからこうなってんの。今度こそ完全に末端まで潰すつもりで行くワケ。
……じゃないと更にずる賢い方法で同じ様に連れて行かれる。
先生もこう見えて色々と考えてるのよー、ただでさえ特級呪術師。忙しさに忙しさを重ねてもー大変!」
「ちゃらんぽらん過ぎて見えねえな……」
「平常運転って言ってやれよ、釘崎」