第12章 愛し君の喪失
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攫う事自体がおかしいけれどこのリベルタという組織は、私が平凡に生きていた中でダントツにイカれた組織だと知った。
よくある、薬だとか銃だとか、そういう部類ではない組織。初めて接した呪詛師含む(全員が術を使うのかは分からないし…)組織、リベルタ。とにかく感じ取った事はこの組織にとって私が重要な要になっているという事。
目や口を塞がれた状態での治療を繰り返していたある日のことだった。
広い施設の中で手に拘束をされたまま通される大きな部屋。会議室とかに使ってるのかもしれない、奥の方に机や椅子を重ねたりして寄せてあった。
その部屋に並ぶのは組織の構成員達。
スーパーで襲ってきたガタイの良いゴリラっぽい男と細めの男。顔には私が殴った痕があるのか、ガーゼが貼り付けられている。
それから博物館のトイレで覗き込んでた、電気系の術を使うやつ。顎に無精髭が目立つ、体格はそこそこ良いけれど性格も悪い男。あのニヤニヤした顔もこの整列の中では真剣な顔をしてた。
スーツの男達がずらーっと並んで、ジャケットを脱ぎだし、シャツも脱ぐ。何が起こると言うんだ、まさかすけべな事をするんじゃねえだろうな…?私のすぐ横の世話係を急いで見るも彼女は私に視線を向けても何も言わない。ただ真っ直ぐ前を見た。
なんというか……ロボットみたいな人だよな、この世話係の人。一度呼ばれてるのを聞いたけれどなんていったかな、くり……ナントカって言われてた気が。
上着を脱いで、シャツも脱げばそこで遠巻きながら分かる事もある。
メンバーの中には世話係以外にも僅かながら女性も居た。スーツを脱いで黒い肌着を来てるから分かる、胸の膨らみも。じゃあ今からすけべな事はされないか、多分。
その広い空間に遅れてやって来たのはこのリベルタのボス。ゆったりとした足取りで来た、ソファーで起きて最初に見た男。今回は片手に鞘に収められた刀を持っていた。その鞘には何枚か札が着いている……呪具、かな。
広い空間の中でカツ、カツという革の靴の音がやけに響く。