第12章 愛し君の喪失
硝子とは良く飲みに行くみたいだけどそういう時絶対に朝か、分かった時点で連絡くれるし。
2年の皆と出掛ける……って事もありえたか?車運転出来るしなぁ、運転中は連絡しようにも…でも、いくらなんでも今の時間帯で連絡無しはありえない。
うーん、と唸る僕に生徒達からメッセージが届く。壁に手を着き片手の画面を覗き込んだ。
「んー、なになに…?
"博物館から出る前にトイレに向かったのを見たっきりだけど?"、"ハルカ、先生と合流してたんじゃなかったの?そういう文章かと思ったんですけれど"、"俺達原宿に3人で行きましたけどみたらいは先生と一緒じゃなかったんですか?"……って、」
全身の血が失われるような感覚。神経がざわつく。
生徒達で出かけたんじゃない、硝子達と飲みに行ったんじゃない、二年でも傑でもない……これは、ハルカが博物館に取り残された状態で、ひとりになってから相当時間が経過してるって事だ…!
「これはマズイ事になった……っ!」
落ちた靴を履き直し、電気なんて気にしてる場合じゃない、僕はそのまま慌てて玄関から飛び出た。
走りながらに恵の部屋を目指した。メッセージのやり取りで察したのか通路に既に恵達が居る。丁度小走りで野薔薇が合流した現場だ。
まずは状況確認だと、博物館のハルカに会った最後の様子と異変や周囲の不審者が居なかったかを聞いた。
臨時閉館の博物館に他の客は居ない。もっとも3人が出る前の情報では不審者は居なくて。
ハルカが後で僕と合流する的な事を言っていたと言う事と僕のメッセージが合致してるという事。それで皆は帳もとっくに上がってるし遊んで帰ろう!と3人で行動していた、と。
「──じゃあ博物館で足取りが消えたってワケか。そこで何かあったか、ひとり帰る単独行動中に何かあったか……?」
すっ、と悠仁が手を挙げる。
「みたらいさー…任務中に式髪の白髪をリセット…、領域展開してっから反転術式今使えないハズなんだよ。
けど、自分の血の着いたナイフはあるって言ってたから身を守れるのかってさ」
「あー、ハルカには赤血操術に近い何かがあるもんね、そう言われりゃひとりにでもしちゃうか…」