第12章 愛し君の喪失
どっちにしろいつかは言わないといけない事。籍を入れる前…いや、ハルカの家族に挨拶する、せめて今週末までには言わないとなぁ……。
あれほどカチカチだったアイスもとても食べやすい柔らかさにまでなってきた。
覚悟を決めてさ。後に回すのはもう止めにしないとな。今日、帰ったらハルカに言おう。その全てを。
考えに耽る頭をハルカへのメッセージに再び向けた。早く任務終わらせて皆と遊び終えて部屋に帰ったハルカに会いたい。その想いを4文字に詰め込んだ。
"好きだよ"
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「ただい、ま…?あっれー僕に対するイジメ?」
部屋に帰れば部屋が真っ暗。
もしも夕飯がご飯なら、炊飯器の米を炊いてる最中のあの独特の蒸気の香りがしない。隠れてるかと思いアイマスクを上に上げてヘアバンドのようにするも彼女の呪力が感じられない。部屋も、僕の方の部屋も…この寮からも。
あれ、もしかして皆と外食行ってた感じか?だったら僕を除け者にするのはどうかと思うけど?4人で仲良くさー…。
3人の青春組ならまだしも、ひとり僕の恋人居ますしねー?
玄関で靴を脱がず、暗い中で携帯を取り出した。僕宛に一年の生徒達からのメッセージは来ていない。グループLINEの画面、お疲れのトークには既読が1件増えて3人が見てる。恵か?最後まで見てないの恵か?
「んーっと…"皆で外ご飯食べに出かけるのは良いけどハルカに至ってはちゃんと連絡してくださーい!先生悲しいですっ!"……っと」
パチ、と壁の照明のスイッチを入れて靴を脱ぎかけた所で野薔薇から短いメッセージが入った。
"何?出かけてるワケ?私は部屋に居ますけど?"
野薔薇、在宅なう、と。
次に悠仁からのメッセージがシュポ、と入る。
"皆部屋じゃねえの?今日任務終わった後ゲーセン寄って帰ったくらいだし"
そして恵。
"みたらいに嫌われたんじゃないですか?先生。俺も部屋にいますけど"
……ん?じゃあ硝子と何か約束でもあったのか?もしくは七海。無いとは思うけど傑……傑はまさか違うよな?傑と外出だったらどうしよう、ない事を祈りたいんですけど。
シャリシャリと頭を掻き、片足を上げた状態から靴が滑り落ちて床にゴトン、と無造作に落ちた。