第12章 愛し君の喪失
二年の生徒達と買い物先で合流したって言ってた時、買ってきた下着がすごく良かった。似合ってるのもそうだけれどさ、どの色が良いだなんて好みに合わせてくる所とか好きなんだけれど。野薔薇と一緒ならそういうコーナー行けるかも知れないけどさ。
……どうしよう、今日またえっちぃヤツ買ってきたら。ベッドで始めたら最後、ブレーキ効かなくなりそうなんだけれど。
さっきからポチポチ送り続けるも既読が着かない。
遊びに集中してるか、通知を見てただ返さないだけか。そんなハルカもお見通しなんだぞっ、とメッセージを重ねていく。
"ねえ見てる?通知だけで判断してるっしょ?そういう所だぞー"
"もし美味しそうなお菓子見つけたら買ってきて!部屋で一緒にヌンティーしませんことよ?ハルカのお嬢様"
皆で行く先で新たな発見があるかもしれない。
そこで美味しそうなお菓子を見つけたらハルカと一緒に食べたいなぁ。
スプーンを手に取ってアイスに突き刺す。半分程刺さるようになってきた、食べごろだ。
バニラアイスをぐぐぐっ、と掬い口に入れ、スプーンを咥えながらに短く送る。
"かまちょ"
「フフフ、これでどうかな~?」
クスリ、と笑いながら彼女に怒涛のメッセージラッシュをする。
今朝も朝起きてポチ袋にぎゅうぎゅうに詰め込んだ婚姻届を、朝のホームルーム時に可愛らしい女児向けのお星さまがたくさんプリントされた封筒にも婚姻届を入れて渡してある。
彼女を手に入れるのはもう目と鼻の先。今週末には改めて親父さんと、それから彼女のお兄さんと顔合わせする。
……結婚なんて二度目であるなんてまだ言えてない。二度目といっても初めての結婚はボランティアみたいなもの。その家族が泣きついての事で人助け、という事で1年未満で解消してる。死んだ状態で生きているって事にして籍を入れ、しばらくしたら解消…あまり大きな声で言えない事だから知ってる人は限られている。
今じゃとっくに死んでる相手とは向ける想いもなく、肉体関係もなく……何も事は起きていないから普通に伝えられるはずなのに、後になればなるほどハルカに伝え辛くなっちゃってる。隠すほどにハルカを傷付けないかという心配っていうか。
……どうして言わなかったの?なんて僕を嫌いにならないかな。