第12章 愛し君の喪失
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「あーあ、このまま生徒達とクレープでも食べに行こうと思ってたのになー…ちぇー、任務なんか大嫌いだいっ!」
せっかくの課外授業の最中だってのに呼び出しを食らってしまった。博物館から結構離れる、県を跨いだ先。常に人手が足りない界隈だから仕方ないよね、と渋々了解して向かってる。
向かってもさ、どうせチャチャッ!と終わっちゃうんだもん、移動時間が惜しいよね。新幹線の中でカチカチのアイスが溶けるのを待ちながらスマホを取り出した。
そろそろ皆も祓い終えたかな?とグループLINEから連絡を送る。
"祓い終えた?お疲れサマンサ!では現地解散となります!ハルカは後で合流して僕とトゥギャザーしない?"
早速2件の既読が付いて、悠仁からの"了解!"というスタンプが送られてきた。
皆で行動してるからだと思うけれど、後の見てないふたりはおそらく恵とハルカ。野薔薇か悠仁がメッセージを伝えたんでしょ。恵もハルカもちょっと冷たい所あるからなぁ…。見なくて良いか!ってなってるんだろうな。この調子だと僕の事ほっとけ!なんて言って皆で遊び歩いてるのかも…。
そんな恋人にちょっと冷たい子には暖かいメッセージを送って溶かしてあげましょう!
停車してた新幹線が動き出す。手を伸ばしたスプーンでバニラアイスの表面を突くとまだまだ硬い。ほーんとコレ、カッチカチなんだよねー、ザブングルの加藤のネタかっての。でも美味しいんだよねー…目的地までに溶けるかな、これ…。
スプーンを置いてスマホの画面を見る。ハルカに向けてのメッセージを考えよう、きっと皆と遊んで帰る最中だろうし。
"制服姿でお酒は駄目だよ?"
前にちらし寿司の店でお酒飲みたいって言ってたよねー、でも制服だったからね。今日も彼女は制服、まさか昼から飲まないとは思うけれどさ、先に言っておかないと。
"男子の居る中で下着コーナーで買い物してはいけません!でも前買ってたのすっごく似合ってたから女子同士なら良いよー!"