第12章 愛し君の喪失
網目から覗けば、あの卵を生み出す呪霊、周囲に5体くらい呪霊が成長して守ってる。低級の呪いを取り込まないようにしても奥から呼び寄せられるから作業が追いつかないらしい。
私も行かないと……と、怒髪天を引っ込めている時だった。
……私の斜め後ろが明るい。電気じゃない…これは炎の明るさ。
引っ込めてからの合流じゃないな、これは。引っ込み切れていないバリケード。その隙間から見えるのは首や顎のない、肩幅の広い呪霊。呪力が高めなのが感じられる。どっから来たんだろう、私達が来た場所は一方通行……スタッフルームとかから来たのかも知れない。
見た感じ、この呪霊は筋肉質。体術のみならまともに受ければふっとばされそう…いや、体術でやるんなら虎杖なら対応出来そうではあるけれど。
『こっちにも新手の呪霊来た!』
「マジか!みたらいー!俺そっち戻るー!?」
中途半端に出したままの怒髪天。式髪が絡んで呪霊は焼けて暴れるも余計に絡んで燃やしていく。でも触れるだけじゃ時間が掛かる。
ふと空いた手で結った髪を触り、白髪具合を見た。半分以上はいってた筈。
私は手元から虎杖の方向へ向き叫んだ。
『ひとりで良い、式髪の白髪化も丁度良いからここらでリセットしておこうと思うよ!
領域展開するから、そっちのやつら投げられるなら投げてー!道連れにするから!』
「ラジャーッス!」
虎杖以外も返事はしてた。野薔薇も伏黒も。伏黒についてはこっちに近付かないはずだ、悟からも領域に行くなって注意されてるはずだし。
「オッラァ!」
野薔薇の勇ましい掛け声と共に呪力を込めた金槌で殴りつけるは生み出された呪霊の一体。
虎杖も2体こちらにぶん投げてきた。ぽっと出て未知の呪霊と生み出された呪霊3体の計4体。それらが範囲内に居る事、私に引き寄せられるのを確認して印を組みながら3人へと叫んだ。
『帰ってきたら介護宜しく!』
「「「いてらー!」」」
『──領域展開……集大成"鎹"』
私を中心とした範囲内が知識の展示物、博物館から地獄へと塗り替わっていった。