第12章 愛し君の喪失
「えっ変態…?やだ、えっちな方向?」
「ちげーよ、ハルカが言ってるのはどすけべな方面じゃないでしょ!てか皆、この任務早く終わり次第自由だからって集中出来てないでしょっ!」
野薔薇が叫ぶと、伏黒の足元に転がったヤツが成長を始める。
それを見て、こりゃ危ないなと私は片手を前方に出した。
『──"怒髪天"』
"グ……ギギギィィッ!"
伏黒の足元の呪霊の卵に拘束を行った。成長途中の体は痛みから逃れる様にどんどん縮こまって行き網目に焼ける卵はガタガタと揺れている。コンパクトになるんだな、生まれる時だけじゃなくても。
この状態ならいくつか拘束が出来る。何本もの"怒髪天"は召喚が出来る、けれどもすればするほどに私が動けなくなる。一個でも結構ずっしりとして重く、さっきの虎杖…よく軽そうに持って居たな…と感心するよ。
そんな虎杖は只今絶賛サッカー中となっている。
「ボーリングの玉製造機かよ!どんどん転がしてくるんですけど!」
ゴロゴロ転がって来るのを蹴り飛ばす虎杖。時々蹴った先でガシャン!という音がした。もう、気を遣って居られないわ…ひっきりなしに生産してるし。
どれだけの低級の呪いだろうと、急に呪力を上げて生まれ変わってこちらに射出される卵状の呪霊の使い。ストックになる、あいつの餌になる低級の呪いは奥からじゃんじゃんやって来ていた。
卵から成長したものは虎杖が殴ってバラバラに破壊したり、野薔薇の釘が臓器に打ち込んでそのまま祓ったり出来ている。
伏黒は一時的にと、ごく至近距離として雷を纏わせる鵺に切り替えていた。
「成長したら骨っぽいんだから虎杖、あんたが一発殴りゃ良くない?私、釘よ?ハルカは紐よ?」
「言いたいこと分かっけどさー!」
ボグッ、と卵状態の呪霊を殴り骨の本体へと成長し始めた所でもう片手の拳を打ち込んでいる虎杖。
"ングッ……ぷっ!"
悪足掻きか…、ぴゅっ、と何か液状の物を吹き出しながらガラガラと骨が崩れてゆっくり祓われていく。けれどその吐き出したものは消えていく前に虎杖の腕にモロに掛かっていた。
「グゥッ!?……痛ってぇ…っ!」
「っ!?虎杖、お前っ、」