第12章 愛し君の喪失
残り3回のデート。つまりは籍を入れる期間も近くなってきたという事で、私もやることをしなければと家族に悟を紹介する事にした。
父親ですらも彼氏という関係で伝えているけれど、その当時は偽りの恋人だった。その件については流石に言わないけれど……いや、言えないな。言ったら大乱闘スマッシュみたらいズが始まってしまう。
一方、兄に対しては私からは何も伝えていない。父から伝わってたみたいで、怒涛の"彼氏が出来たって本当か?""兄ちゃん寂しい…""一度男の面見せろ、大丈夫何もしないから"というメッセージが来ていた。私の兄はシスコン。とても私を大事にしてくれた父に次ぐ第二のスタンド。ツラを見せて何もしないと言ってるけれど絶対になんかするわ。主にオラオララッシュ。
……その家族ふたりには、母にも付き合ってる人が居るんだって言ってある、という事も伝えてないし、色々と高専に来てからの事を家族に話してない。言える範囲だけれど伝えないといけないな…、確かに長居しそうだよ。帳が降りきる前に私は携帯をしまった。
「ここってティラノサウルスの骨ってあるんかなー?なあ、伏黒ー」
「いつまでもナイトミュージアムの気分で居んじゃねーよ、お前、頭五条先生かよ」
「ん?恵ー、軽く僕をディスってない?」
降りきった宵闇。
虎杖が帳の中に入っていくのを見て悟をゲート前に残して私達も続いていった。
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『博物館とか久々に入ったわー…』
非常灯の中で周囲を見渡す。
背後のポーチから折りたたみナイフを取り出して、"怒髪天"で絡ませ柄を長くしていく。柄を地面に付けたら私の身長を越すくらいに。
槍というか薙刀というか……片面であるからギリ薙刀か。ただのナイフを呪いで絡ませて呪具化した所に手を刃の先端で傷付け、血液を纏わせたのでより殺傷度を高めてる。
その一連の過程を野薔薇は眺めながらも周囲を確認してる。
帳が降り、春日のデメリットが働いている今、たくさんの目がこちらを見て距離を詰めているのが分かる。
「え?何ハルカ…先生とデートで博物館とか美術館とか行かないわけ?」
そう驚かれましても。