第12章 愛し君の喪失
ここは虎杖と伏黒が泊まる部屋。そこに集まるはその部屋の主達以外に悟と野薔薇と私の計5名。
虎杖が8回目のシャッフル済みのカードを配り終えた。
「デュエル!」
『だからトランプだから、これ8回目のやりとりよ?』
「えっギャグは基本、天丼だろ?」
…7回目の時は伏黒が嫌々ツッコんでいた。
配られた手札を取り、ペアの数字同士を皆さくさく捨てていく。始めこそはババ抜きであったけれどジョーカーを抜いてのジジ抜きへと変化していった。
「何でトランプ以外持ってこなかったんだよ。あれほどお前、色んなカードゲーム提案してただろ」
「いや、他の人がウノとか持ってくるかもしれないって事で無難なトランプ持ってきたんだって」
「だからって虎杖もみたらいも先生もトランプかぶりする事があるかよ。第一先生とみたらいは寮でもずっと一緒に居るんだから相談くらい出来ただろ」
……そう、悲しきことに言い出しっぺの虎杖がカードゲームを持ってくるかと思いきや、慎ましやかにトランプ1本に絞って持ってきた。
そして伏黒も意外な事にトランプを持ってきた。
ただ彼の場合トランプ自体がゲーセンの景品で仕方なく所持していたというだけ(今日以外に使いみち無いし、と)で、野薔薇の場合は虎杖もああ言ってたし誰かしら持って来るだろうとの予測。これは正しかった、野薔薇まで持ってきてたらカオスだった。
私はこっそりと、というか何も持っていかないのも…と持ってきただけで、悟はここに来るまでに寄ったコンビニでわざわざ買ってきたという。もう、ババ抜きもジジ抜きもお腹いっぱいだ。
「ほら、あんたの番よ。どっちが良いの?」
『さっきの展開になりつつある…』
野薔薇から一枚取り、次の虎杖に一枚引かせる。虎杖が手札を二枚捨て一枚を野薔薇が取り、私とのやり取りの結果……。
『全8回中3回も負けてるんですけど……?』
うん。そういう日もあるさ!とやけくそ気味に自身の手元に一枚残ったエースの7を単独、山へと捨てて離れた場所で伏せていたハートの7を合流させて山は伏黒にかき集められていく。9回目が始まるのか…そろそろポーカーとかに切り替えても良いような気も…。
負け越しているけれど少しノリ気になった所で、隣に居た悟が立ち上がり私の肩をとんとんと叩いた。