第12章 愛し君の喪失
「よいではないかよいではないか~!」
『止めろ悪代官!…あっ、ちょ、マジで脱げるマジで脱げる!』
体を起こそうにもしっかりと掴まれていて、私が上半身を起こすと同時に悟も釣られて起き上がる…そして試合は続行だ。私が体を起こした状態で悟が膝立ちで跨いで万全の体勢になってる。逃げられない、立ち上がれない、完全に拒絶する事の出来ない…完全におっぱじまる前の状態。
仮眠から起きて早々に脱がそうとするものと脱がされまいと阻止する関係になっている。両手で食い止め様にも思い切り素肌を晒した、かろうじて胸の先端が見えない上半身。
そのはだけた胸元を悟は顔を近付けて覗き込んでる。
「あれ?ちょっとハルカノーブラじゃん。駄目だよ?ピュアな少年達には刺激強いでしょ、いくら浴衣だってさー…あっもしかして僕にすぐに食べられたいからとか?期待してた?やっぱここは僕が張り切って4~6億くらいキミの中にぶちまけた方が良い?」
『す・る・か!てかラウンド数が分かる事を言うなっ!
だぁーっ!だから脱がすなってば!や・め・ろ!』
ムキになって更に脱がそうとする悟を必死に食い止める。
「据え膳食わぬは男の恥!」
『食うな、場所を弁えろ変態!』
「もー、幸せそうに寝てるキミを見てたらさっ!その時点で戦いのゴングが鳴り響いてるので場所、弁えられないんだなー、これが!」
これ、マジで食うつもりだ…!
絶望を感じ始める中でガチャ、という音にその音源を同時に向くと野薔薇を先頭に背後に覗き込む虎杖や伏黒。悟の浴衣を剥こうとする動作が一時停止する。
私は急いで片手で前を隠し、悟の手が緩んだ隙に浴衣でせっせと隠した。
虎杖は私の状態を見て把握したのか、顔をとっさに手で隠し、伏黒は無理に覗いて来ないけれど今聞こえたため息はきっと彼だろうな。
野薔薇は目が殺意に満ちていた。部屋で何やってんだという目で。
「ハルカ夕飯…って、呼びに来たんだけどさ。なにこれ事案?
先生ー…ハルカはそれ嫌がってません?犯罪じゃないですか、それー…」
愛用の金槌を手にじりじりと部屋に入ってくる野薔薇。
悟は私から離れて部屋の中へと野薔薇を警戒し、両手を上げて後退りしていく。