第11章 その男、心配性につき…。
「じゃあふたりとも授業に戻りな。ハルカに至っては最低でも30分は戻れないって言っておいてね。
もしかしたら延長戦もあるかもしれないから遅れるかもだけど」
『延長戦…っ!?』
なんでそこまで元気に出来るわけ?この人…!
だって昨日いっぱいしたんだよ?翌日である真っ昼間から延長戦までする気なの!?
背後でのやり取りにばたばたと手足を動かすも胴体をしっかりと抱えた腕はびくともしない。
「はあ…、程々にしてやってください。俺達気になることがあって先生を呼ぶためにみたらいはあんな事言ってたんですから」
伏黒ナイスだ!とこの状態では見えぬ彼を称賛する。具体的に言うのなら、伏黒方面にサムズアップしといた。
今ふたりに向けられているのは太もも裏や尻。制服だったら東堂と違い悟はストッキング履いてる尻でも見せようと捲っていただろうけれどジャージだからちょっかいを出さない。
「えー?許すにはだいたい十月十日掛かるかな?」
『おい』
で、何聞きたいの?と悟はふたりに聞いている。私を抱える片腕…手が背をとんとんと叩き私は落ちないようにと悟の背に両手で突っ張ってバランスを取りながら背面のやりとりを聞いていた。
「先生が女性関係を切ったって本当ですか…って、この状態を見るまでは信じられなくって…」
「憂太マジで言ってる?僕の事そんなに信じられなかった?」
聞いたのは乙骨だった。
普段そういう事を言わない人なんだろう、悟の言い方からして。まあ真面目そうだしね…。
私は鼻で笑いながら私をこう抱えてる男の背をぱしぱし叩いた。
『普段の悟の行いが悪いからじゃない?』
「あらやだ!ケツが喋った!」
『あんたがふたり側に尻向けて抱えてるからだよっ!』
「お黙りっ!おしゃべりなおケツですことっ!」
ぱすんっ!と軽めな打撃音。えっ…なにこの人、人前で尻叩いてんだけれど?
そして尻をさわさわさわさわと撫で回す。人前で堂々とセクハラをする悟に降りようと再び暴れるもホールドがしっかりとしている。暴れても構わず続ける撫で回す手!
悟は楽しげに笑い声を上げていた。
「えっへー、見て見て、良いお尻でしょー『やめろや!』」