第11章 その男、心配性につき…。
99.
「その、呼んだとして、ハルカさんこの後の先生への対応…大丈夫?」
乙骨は指先で私の横の威圧感の塊を指差してる。
威圧感の塊…、五条悟という名の特級呪術師、いつの間にか隣に現れた人。
悟はわざとらしい笑い声を出してる、ふっふっふーとか。普段そんな笑い方しないもん。
「憂太の言う通り、ご機嫌ナナメの五条悟君の対応、キミ……ちゃんと考えてる?」
『……、』
ジャージ姿の状態で、ズボンのポケットをぱんぱん、と叩く。何もない、じゃあ背後のウエストポーチを探ってみるか、と漁ってみると棒付きの飴が手に触れる。おお、やった悟を黙らせるアイテムみっけ!
それを取り出して差し出すと流れる様に受け取られてノールックで悟はポケットにしまっていく。
「残念!効果はいまひとつのようだ!」
『えっいつものご機嫌取りのレート上がった?』
前はこれで機嫌がよくなったんだけれど。危険回避の為ちょっと悟から仰け反っとく。
といっても機嫌がよくならないレベルで今の悟は危険なのかもしれない。私の直ぐ側の男は指先を左右に振ってチッチッチ、と舌を慣らした。
「飴ちゃんじゃあもう、悟君のご機嫌はどうにも出来ないよ~?ハルカ~…キミィ、浮気しないって昨日言って無かった?浮気したら殺しても良いよってくらいにさ?
僕も正直、キミを殺したくないけれどさー…キミの死因方法として腹上死とかどう?どぎつい方法でさ?」
頭にクエスチョンマーク。なんぞや?とふたりに目配せすると目を逸らされた。
隣の悟、私の肩を突く。
「知らないの?じゃあちょっと携帯で調べてみ?」
『そんな死因?聞かないしねぇ……切腹だとか内臓やられるとかそういう言い方を変えたやつかな、としか…
ええと、"腹上死"ね…、』
携帯で検索。
腹上死とは性交中に突然死することを指して言う言葉である。 ただし腹上死というとやや俗な意味が強く、医学的には性交死と表現される。
……。
その検索結果を見てサァー…っと血の気が引いていく。
『無理』
「いや、頑張れば出来る気がする」
『そういう事を頑張るなっ!』