第11章 その男、心配性につき…。
『つまり……この医務室を。硝子さん、私、乙骨先輩で回していく…という訳ですか?このいつ呼ばれるか分からないドキドキローテーションに…本日3回、伏黒の治療で4回目の医務室召喚だった治療レースに…』
「あっ…そういうのじゃなくって」
えっ違うの?と首を傾げた。2人シフトからの3人シフトで助かる休みもあるんだよ…?
伏黒がティッシュで血を拭い、手にゴミを持ったままに乙骨を指してる。
「はぁ…みたらい、乙骨先輩がここに来たのは聞きたい事があるから俺に着いてきたんだ。皆の前で聞くに聞けないだろ?俺がたまたま怪我したから付き添いって事で来てんだ、でなかったら俺の怪我はその場で先輩に治されてる」
医務室のベッドに伏黒は腰掛け、ベッドにティッシュ箱を置いて額の血を綺麗に拭いている。
その伏黒を振り向いた乙骨が私が座ってた椅子に"どうぞ"と座るのを勧め、自身は患者用の椅子に座った。
両者座り、僅かに沈黙が流れた。てか、その私に聞くのに伏黒居るけれど大丈夫なやつかな…?
俯いた乙骨はそろそろと顔を上げ、聞きたいことを口に出すのに戸惑っているようだ。
『で、何を聞きたいんです?』
「あっはい!えっとですね……、」
ちら、と伏黒にアイコンタクトでも取るように乙骨は視線を投げかけてる。血を拭いきった伏黒はゴミ箱に捨て終えるとそのままベッドに座ったまま休憩していた。
「大丈夫ですよ、不良っぽい所が滲み出てますけど根は良いヤツなんで」
『あ゙?誰が不良だって?』
少し苦笑いをする乙骨はやや緊張してたのがほぐれたみたいで、ようやく話が進み出した。
「あの…ハルカさんって五条先生とお付き合いしてるって本当なの?」
なんだ、そういう話なのか。別に隠す事も無いことだし付き合った序盤程恥ずかしさはない。一年も二年も皆に知られて居るし。
私はひとつ頷くと珍しい生き物を見る表情をされ、その後ゆっくりと首を振られた。何故だ。何となく、悟が原因な気がするけれど。
「同じ先生なら夏油先生の方が良いよ?その…、五条先生だと君の事を大事にしてくれるかどうか…女の人にとても恵まれてるし…」