第11章 その男、心配性につき…。
「んっ……、ハルカ、」
『ん、……まっ、…ぅ、んっ』
深く獣が肉を喰らうように何度も角度を変え、舌を入れながらに私の口内を荒らしていく悟。
私を黙らせる為のキスから開放されると、私達の口同士を数秒だけ繋げる透明な糸が切れ、悟はククッ、と笑う。
「傑の事考える事が出来なくしてやるから、オマエは目の前の男だけ考えてろよ。傑のじゃなくて五条悟の女なんだからさ?」
私が夏油と話してる時に、そんなに仲良く見えたのかは知らない。気があるというよりも性格的に喋りやすい感じはあったけれど惚れる惚れないの話じゃなかった。
……親友とはいえかつて女の子をナンパしてた同士気が抜けないのかも。
『親友の夏油さんは悟のものを取る人じゃないでしょ?そこまで妬かなくても良いじゃん』
「取るさ、傑は。昔は良く硝子に"ふたり揃ってクズだな"だなんて言われるくらい取ったり取り返したりしたし」
『本当どういう青春時代を送ったんだ…あんた達……、』
キラッキラの青春じゃない、どろっどろじゃねえか。呆れた視線で目の前の悟の目を見ると、そんな事とは関係のない澄んだ色をしてる。にこっ、と楽しげに笑って悪戯っぽく唇を舌先で舐めながら。
「ハルカ。今日、オマエん中にたっぷりと俺の遺伝子を出したらどうなっちまうんだろうなぁ?」
『……止めてよ。私はまだ学生でありたいんだけれど?』
無邪気な笑みを浮かべ始めた悟をやや睨む。いつもというか、特に今は駄目だ。今週末過ぎたら来るだろうと思うけれど割と危ない。
そういうのも知ってて悟は聞いてる。生理周期を知られてしまってるから……もしかして結構危ない思考を持ってるのでは。
「へへ、そっか!じゃあ外に出すから生で良いだろ?」
『それも良くない、絶対に安全な方が良い』
今の悟は下手したら中に出すかもしれなくて危険。回避出来るものはして、自分の身を守らなくちゃ。
今の私が安全に身を置けるのは高専だけなのだし。
「ちぇーっ!分かりましたよゴムしますよ……するから、ハルカゴム取って。少し這っていけば届くでしょ?」