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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第11章 その男、心配性につき…。


『本当に10回目まで取って置けるか心配だけれど。赤飯は炊かないで。今日はカレーだから赤じゃなくて黄色い米ね。
…サフランライスなら炊いて良いけどさ?』

ハミングしながら大事そうにファイルに皺を伸ばしてしまってる笑顔の悟を見て、私もふふっ、と笑みが漏れた。あのふたり組に捕まっていたら今こうしてる事が無かったのかもしれなかった。緊張と不安からの開放……今、こうして安心に満たされてる。

今だけでも充分に満たれてるけれど。もっと彼が欲しいと願ってしまう。溢れてしまってももっともっとと幸せを欲しがってしまう。術師としての強さも恋人への愛情も欲張ってる。貪欲に…だから早く死ぬわけにはいかない、こんなにも喜んでくれる人ならこの人にもっと愛されて生きていきたい。
私は椅子から立ち上がり、夏油の湯呑を片付け終え喜久福を机に出している悟の側に寄った。
私を不思議そうに見ていた悟の胸に顔をうずめて腕を回して…。

「ん?急にどうしたのよ?いや、こうしてくれるのとか嬉しいんだけれど」
『いや、ちょっと』

恐怖からの安心感というか、充分に幸福に満たされてるはずなのに足りないと思ってる。ドキドキとしてただ一言が言えない。
いつも受け身になって与えられるままで満たされてしまってる、その行為を口にするのは躊躇われた。そもそも、いっつも悟がやりたいだのしたいだの言ってるけど女から言うのはがっつきすぎだと思われない?抱きついて言おう、顔も隠れるし。と視界は悟の胸元のみの状態で、いざ口を開いた所で尻込みをした。
私の背後に回された両腕と、頭上で頬を寄せる悟。

「今日のキミは随分と可愛い事してくれるね。愛してるよ、ハルカ」
『ん、……私も悟、愛してる』

どくどくという心音が心地良い悟の胸の中。その心音を聞きながら頬を擦る。私もうるさいくらいにどくどくと心音を自身で感じてる。
言わなきゃ駄目だし。断られたら断られた、だよね。それでも目を見れなくて恥ずかしくて胸に顔をうずめたままに思ってることを話した。

『悟、』
「ん、何かな?」
『その……夜、したいです…』
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