第11章 その男、心配性につき…。
「それからあの子は充分に強いよ、戦闘力という意味じゃなくてね、ここ…精神的にとても強い子だよ」
色々と工夫をして呪術を向き合ってる。天与呪縛に悩まされながらも生きるという行為を諦めず今日を生きている。もっともっと今よりも強くなれる。
そんな僕の話を聞いて傑はふふ、と笑っている。きっと会って少ししかないハルカの事を考えてるんだろ。
「いい子そうではあるけれど、君に負担が掛かるんじゃないの?多方面から伸ばされてくる手を払い続ける事になるだろ?ただでさえ悟は当主だってのにさ」
「まーまー、そこら辺はなんとかなるっしょ!健やかな時も病める時もってね!」
今の所変なやつは居ないし、このままならスムーズに10回目のデートを終わらせたら結婚出来るでしょ。もう指輪は買ってあって保管はしてる。最後のデートの時にあの華奢な指に僕との縛りを結んでもらうつもりで。
そしたら悠仁達にみたらいじゃなくて五条って呼ばれるのかな、ハルカは。
そんな未来を想像しながら上半身をそのままベッドに倒し、両手を頭の下で組みながら天井を見上げる。視界にこいつ大丈夫か?と言いたげな傑が覗き込んでいた。
「のんきすぎるだろ…そうやって危機感なく過ごしているとある日突然事が起きてしまうよ。
……気は抜かない方が良い、警戒は怠るな。春日を狙うのはひとりふたりじゃないって事はちゃんと自覚しておきなよ」
そのことについては自信があった。
だって僕が側に付いていれば良いって話。笑いがこみ上げる。
「大丈夫、僕天才だし」
自信たっぷりな僕に対して傑は少し不安そうな顔をしていたのが印象的だった。