第11章 その男、心配性につき…。
「……で、彼女に結婚の意志はあるのかい?」
ベッドに隣り合って座る。男同士じゃ興奮も何もないんだけれど。ハルカだったら体に触れにいったのに傑だし。
はあ、とため息と肩を下げて傑の質問に答えた。
「結婚の意志は充分にあるよ。出会って付き合ってからの結婚が早すぎるからってサ!10回デートしたら結婚するよって言ってくれてねー!あと7回ハルカとデートしたら僕らはめでたくゴールインってワケ」
ばちん!とふざけてウインクを飛ばすも傑は呆れた顔をしてた。
「そんな理由で……」
「うん、可愛い理由でしょ?しかも結婚前の恋人の状態で想い出を作りたいからって言う所がまた可愛いだろー?自慢したくなるのも分かるっしょ?可愛くても傑にはあの子をあげないけれど!」
もう、ハルカと朝起きてから寝る時まで過ごす時間が嬉しくてしょうがないってワケよ。
一緒に居て楽しいし、食事だって一緒だと美味しい。えっちも凄いイイし可愛いし。もっとデートしてふたりの想い出を作っていきたい欲と早く結婚して自分だけのハルカにしたい欲。子供だって欲しい。
毎日この天秤が左右に揺れているってもんよ。
傑は眉間に皺を寄せて、声を低くした。
「悟…ただ、"そんな理由"であの子を野放しにしてるっていうのかい?」
「……別に良いだろ。彼女は春日の子でもさ、普通の女の子なんだから」
恋愛くらい好きにさせてやって欲しい。ハルカは普通に青春を送ってきてるはずだけれど、恋愛に至っては両親から遠ざけられていた。きっと若くして死ぬまでの命、子供を作るという行為をさせないままに一族がハルカ以降に続かないようにとハルカの母親から、ハルカの父親と兄に伝えられていたんだろうけれど。
春日については知ってたさ。
ハルカについても呪力があって、術式も体にあるはずなのにおかしかった。狗巻家のような例もある、そういう事なんだろうって。
だからこそ、親父さんに付き合ってる事の他にこっそりと男系一家だと確定していない要素を適当に口にしたら親父さんは喜んでいた。
"なら、大丈夫か!"…ってね。そこからハルカは僕との恋愛が始まったと思うんだけれど。