第11章 その男、心配性につき…。
はっと自身の今の姿がノースリーブに太ももという結構露出の多い格好に気付いたけれど今更焦っても遅い。今になってキャー!だの覗きっ変態!というタイミングは逃してるし。
気付いたけれど気付かないフリをしておこう。医務室前から連絡来たらすぐ着替えられる服をちら、と見て今更夏油の為に着替えるのも億劫だし。
悟の部屋からこちらを見てた夏油は屈んで失礼するよ、と私の部屋側に入ってきてしまった。悟も身長あるけれど夏油も同じくらいに長身だった。
……って流れるようにベッドに座る私の横に座ってるんですけれど。やけにリラックスした様子の夏油はにこりと微笑みながら私を見る。
「なんで悟の仮の部屋に直結するようになってるんだい?前はこんな風通しの良い壁なんて無かったんだけれど…そもそも君は誰かな?」
本当に何も知らない状態で来たのか。
でもなんで悟の部屋から入って来たんだろう?合鍵?ピッキング?今は深く突っ込めない雰囲気だな…。
とりあえずは自己紹介をしておくことにしよう。
『ええと、ですね。私は悟の恋人のハルカです。みたらいハルカ。
で、あなたは夏油さんですかね?悟の高専時代からの親友の……悟から聞いたタイミングの悪さで遠くにいるって言うもんだから亡き者かと思っちゃったんですけど』
「前髪とか亡き者とかちょっと失礼な子だね…」
ちょっとだけ眉間に皺を寄せ、携帯を片手に持ち始めた私の側で苦笑いしている夏油。
状況が状況だしな……と私は会話をしながら悟に連絡としてメッセージをぽちぽちと送っておく。
ええと…"【悲報】悟の部屋より夏油氏、ハルカの部屋に訪問"…で良いかな…。
妖艶な笑みを浮かべ、夏油はふふっ…と口元に手をやり笑い声を漏らした。
「……なるほど、部屋の大量のアレ…ハルカって書いてあったし。君は悟の本命って所か!悟もついに身を固める時が来たんだなあ……」
『ん?婚姻届けの事です?』