第11章 その男、心配性につき…。
「はい、出来たよー。メインディッシュありがとー!」
『ん、ラッシーもありがと。ほんと良く作れるよねー』
「天才の為せる技だもん、才能が有りすぎて困っちゃうよね~
……ん?なんで無言?何か言えよ」
流石にさっき考えてたこと言ったら帰ってきた時に何かされるから言わないでおこう。
ははっ、と誤魔化して笑いつつ手を合わせてすれ違いにいただきます、と言い合った。
さっそくグラスに手を伸ばす。
『んっ……!?めっちゃうま!あれ、悟日本人じゃなくてインドってかネパール人だったりした?それともカレー屋さんでバイトしてた?あの味なんだけど?』
悟特製のラッシーを飲むとカレー屋さんに行きたくなるあの味。んー…あのセットとかのドリンクメニューにあるんだよね、マンゴーラッシーも美味しいけれどストロベリーラッシーもたまに飲みたくなる。
「ワタシ日本ウマレ、ストロベリーラッシーフタチュ作ル、オ手ノ物ヨ?」
『わー…っぽいわ、ポイポイ。今晩の夕飯にカレー…ありかもねー…』
いつもと状況が違うけれど変わらない朝食を摂って、出掛ける支度をした悟は最後にアイマスクを装着した。
教師モードだよなぁ、と本日任務に行けずお留守番(…といっても連絡があれば医務室にすっ飛んでいくのだけれど)の私は玄関で靴を履く悟を見守る。
靴を履き、くるりと振り返る悟は本日も朝からご機嫌だ。
「いいかい、ハルカ。医務室に行く以外は外に出ちゃ駄目!部屋に誰か来るとしてもドアスコープから判断して、見たことない人だったら部屋に入れてはいけませんよー?」
『なに私今日は軟禁されんの?』
連絡自体は私の携帯だから、高専敷地内くらいはぶらぶら散歩はしたい。
悟は下唇を突き出し不服オーラを出している。きっとアイマスクの下…眉間にも皺を寄せてるんだろ。
「……ハルカの存在を知られたらずぇ~ったいに傑に取られる!喧嘩中で僕のハルカと聞いたら口説き落とされるもーん、僕だったらそうするし。
だったら防衛策とっとかないと!あー貞操帯でも買ってハルカに履かせとけば良かった!」
『そこまでするか普通……親友だろうに難儀な関係だよ、それはさ……』