第11章 その男、心配性につき…。
「──けどパンダ先輩にパンダの画像見せたところで投げられたりしない?俺ー」
「言い出しっぺは虎杖でしょうが、やってのけなさいよ!男だろ!」
『虎杖の携帯を投げられた後に虎杖が投げられるに一票』
「逆にパンダだから喜ぶんじゃなーい?」
この前の動物園の話だ。全員に共通した話題かつ、皆がパシャパシャ写真を撮りまくっている。
そこへパンダ=2年という事で何かを思い出したらしい伏黒が路線変更してきた。
「パンダ先輩、というか先輩で思い出したんスけど…そういえば、乙骨先輩達帰ってくるって聞きました?」
おっこつせんぱい?と私含む虎杖と釘崎は動作が止まる。
伏黒が主に話しかけていた悟はというと何故か固まっている。知ってるはずなのでは?
『伏黒、乙骨先輩とは?』
「2年の乙骨先輩。今海外に行ってる」
海外に行ってるのか、へー…、とその人物について知った所で固まってた悟が伏黒の所に近付いていき、机に座った。…いや、教師が生徒の机に座るなよ…!
悟は伏黒の話に食いついていた。
「んー?なにそれ僕初耳なんだけど憂太達いつ帰って来るって?」
「他の方から聞いていないならそりゃ先生知らないはずですよ、俺が直接連絡取ったんですから。いま受けてる任務次第ですけど早くて明日とか」
海外行ってても忙しいんだなぁ、2年のその先輩は。他人事のように聞いていたら机から立ち上がった悟はつかつかと私の前に来ると両肩にたんっ!と手を置いた。なんでだ。訳が分からない。
現在の悟の口元だけで分かるのは焦ってるという表情。
「やだっ、ハルカを隠さなきゃ!」
『私は隠れて買われてた犬か猫なの?何故隠す?』
オーバーリアクションだしふざけているんだろう、と思っているけれど。
こりゃこの人に聞いてもダメそうだと伏黒の方を向いて聞いた。
『その先輩が帰ってくるのに私が居ると不都合なの?』
伏黒は言いにくそうな…苦虫でも噛んだ表情で後頭部を掻きつつ、悟をちらっと見て私の質問に答えてくれた。
「いや、先生が隠したいのは乙骨先輩からじゃなくて一緒に帰ってくる人だよ」
『……それ誰よ?』
「夏油さん。夏油傑さん」