第10章 末裔の貝殻は開くのか?
『……そうサラッと言う所。そういう所だよ、悟』
「ええ?何が?」
チェーンを外し私を先に出してからまた引っかけようとして背中を見せる悟。
その後姿に呟いた。
『そういう事言うから、余計に好きになる……』
チェーンを引っ掛け直し、振り返った悟はちょっとだけ驚いた顔をして笑った。
「僕もさ。そんな素直なハルカを出されると余計に好きになるよ。
……ほら、もう任務も終わったんだし後はいっぱい想い出作って行こうぜ!やっぱぐるんぐるん回っちゃうジェットコースター?のんびりと観覧車?そ・れ・と・もカートでリアルマリカしちゃう?」
お疲れサマンサ!と私を軽く撫で、お化け屋敷から離れていきながら、はしゃぐ悟に笑う。
けれど背後の先程までの暗かった光景を思い出して私は足を止めた。つられて悟も足を止めて不思議そうに私を覗く。
「どうした?あっちのスワンボートとかの方が良かった?」
『お化け屋敷のスタッフに作業終わったとか言わなくて良いの?』
多分、中の点検だとか工事だとかそういう作業という口実で運営を一時的に停めていたんだと思うんだけれども。
数秒固まる悟はフフンと笑う。
「……べっつに良いでしょ!そのうち、あっ終わってたんだ!って気付くよ~」
『良くねえよ?報告は必要でしょ?そういう所だぞ?』
作業が終わりました、という報告をしに私は悟の手を引いてもう一度お化け屋敷の方へと向かった。