第10章 末裔の貝殻は開くのか?
『任務だな…?さてはこれは昨日の様に、特級が受ける程でもない任務を脅してかっさらい、私とのデートと称してここに来たんでしょ?』
「正解!その説明も満点の回答です、ハルカ選手!」
人差し指で私を差す、ダンディ坂野ばりのゲッツを披露するダンディ五条。
といっても任務とは言え、それを済ませてしまえば良いんだけれど。
『舞浜方面の行くかと思ったら違うしさー…関西方面でもないし、そもそもあの時間から行くのもねぇ。こういう遊園地なら事前に言ってくれれば……まあ、それは置いといて。
それでどこに発生してんの?』
「切り替え早いねー…待って、」
よくある長方形のパンフレットを悟は開く。園内マップだ。
こちらへと見やすいように園内マップを見せて、指先でトントンッと指すのはお化け屋敷。適材適所といいますか、この呪いの発生地点は。そりゃあ皆の感情の吹き溜まる場所ですよ、遊園地で一番さ。
私はうんうん、と頷いてここからは見えない目的地方面を向いた。
「てなわけで最初に向かう場所はここで良いね。さっさと終わらせてのんびり楽しんでいこうよ。こういった都心から離れた遊園地って結構本格的だったりするから足ぶらぶらするジェットコースターとか面白そうだよねー……あっ、そこチュロス売ってるよ」
のぼりにチュロスと書かれてる側にはキッチンカー。
今いる位置から見える味は、シュガー、チョコ、シナモン、メープル。その4つの味があるみたいで。お化け屋敷からちょっと逸れるその場所に悟の足は向いている。買う気らしい……なら、私はどうしようか?ちょっと甘さ控えめにしたいな、とその4つの選択からシナモンを選んだ。
『私はシナモンで』
「じゃあ食べながら行こうか!」
園内雰囲気にマッチした、クリーム色とピンクのパステルカラーのキッチンカーでメイプルとシナモンのチュロスを買い、のんびりと歩きながらチュロスを齧る。
こういう食べ歩きってのが遊園地の醍醐味というか。繁忙期を避けた時期に友人と行った遊園地ではポップコーンのフレバーを色々試したりした。この遊園地にもポップコーンも置いているけれど特段変わったフレバーは無さそうだなぁ…と、点在するキッチンカーの看板を見て思う。