第10章 末裔の貝殻は開くのか?
撫で回すその手をようやく掴み、激しく撫で回す攻撃を止めた。もー、寝癖だか撫で回されたせいでかぐっちゃぐちゃ。洗面台で鏡見たらとんでもない事になってそうだな…これ。
くすくすと笑う悟は私の手から手を引っこ抜く。
「ハルカ、今日もデート行こっ!」
『今日もっすか……まあ良いんだけれど。どこに行くつもりで?』
もさもさとした自分の髪を手ぐしで整えながら、悟の提案に食いつく。家でごろごろするのも良いけど、出掛けるならしたい。買い物は昨日済ませたし最後に買い物を予定したデートにならなさそう。
昨日は任務ありの動物園に映画、夕飯にお好み焼きの店舗に行き、買い物をして寮へ帰った。少し忙しなかったなぁ…。
今日はどこなんだろうか?と随分とご機嫌な悟の言葉を待つ。
「──遊園地って…言ったら?」
『──…何?今、なんて言った?』
随分と思い切った提案をするな、と気を引き締めた。思わずベッドの上で悟を前にして正座もしちゃう。この人、遊園地って言ったよね…?
追い打ちを掛けるようにキメ顔をした悟は繰り返す。
「行くでしょ、遊園地…」
『……行くっ!』
ネズミかな?魔法使いとか最近だとマリオの方かな?もしくは絶叫系がたくさんある所かな?遊園地なんて久しぶりで悟と行けるなんて絶対に楽しいに決まってる。寝てる場合じゃない!
悟の肩に両手を置いた。行きたい!
「ふふふ、随分と嬉しそうだね。じゃあ行こっか!髪まだもさもさしてるからさ、さっさと支度しなよ~?
あっ、僕朝ごはんはパンケーキが良いです」
『合点承知の助!』
サムズアップ&サムズアップ返し。
私達はベッドから降りて、それぞれが支度をしていった。
────
──
「はい!到着!」
流石に休日、客数は多いのか来園者のはしゃぐ声がきゃっきゃと聞こえてくる。ここは遊園地、けれども期待していたテッテーでもユニバでもない、ここは…。ここは……。
『どこっ!?』
新幹線や電車、バスを使ってまで来たのは田舎の遊園地。
そして特別なパスを使って入場していた事から、昨日の事といい私は察した。ご機嫌なラウンド型のサングラスを掛けた悟を見上げる。