第10章 末裔の貝殻は開くのか?
87.
「ほら、朝!朝だよ、ハルカ~起きてってば~!」
『んー…休みなんだしもうちょっと寝かせてよー…』
昨日は外でデートして、部屋に帰ってきたらDVDみたり浴室や寝室でいちゃいちゃとして……。愛されているという実感の中でのまだ覚醒しきれていない頭。休みだしもうちょっと寝たいっていうのは我儘かな、誰だって経験するあと5分寝かせての世界。
まだ眠っていたい私の頬を悟はむにーっと引っ張ったり、髪で"一発芸、水戸納豆!"としたり、睡眠を妨害する悪い子供のような、……子供に失礼か、28歳成人男性を私は片手で突っぱねる。悟の頬をぶにっと押す私の手の平。止まる悪戯。
『……ふぅー…、あと5分寝よ』
悪戯が済んだかと手を退かし、息を吐きながら寝返りを打った。5分と言わずやっぱりあと30分寝かせて…。
そんな惰眠を貪りたい頭で、耳に聞こえてくるのはククッ、と笑う声。
「……そっか。ハルカはまだ寝てたいんだ?
じゃあ寝たままでえっちな事させて貰おうかな~…寝バックならキミもこのまま寝てるだけ、いやハルカの中に入った僕をぎゅうっと締めてくれれば良いし~?
あっ、ハルカはこのまま眠ってて良いよ、でも下半身貸してね」
掛け布団を剥いだ悟。私の寝間着として上はTシャツ下はショートパンツ。その寝間着と下着に指を掛けられた所で私は寝返りを打ちつつ上半身を起こした。
服に掛けられた指はその際に引っ込められて未遂に終わった。冗談じゃないぞ、寝てる内にされるのとか。
視界に入る悟は朝から楽しそうに笑ってる。
「あらっ、起きちゃったの~?」
『起きるわ、流石に起きるわ、やり始まったら寝てる場合じゃないし……おはよ』
「うん、おは…ヨークシャテリア!」
朝から元気だな、この人は…と思わずハハハ…と笑って、白いヨークシャテリア的悟を撫でる。うーん、朝、何食べよう。お米は炊いていないんだよなぁ…。
大人しく撫でられてた悟は私の手を降ろし、笑窪を作って笑うと私を急に両手で撫で回す。
わしゃわしゃわしゃーっ!と…。
『わっ、ちょっと!ぐっしゃぐしゃになる!』
「このお寝坊さんめっ!ちゃんと目が覚めるまでやっちゃうよーヨスヨスヨス~…」
『起きてる!起きてるからぁ!やめっ、やめろっての!さーとーる!』