第10章 末裔の貝殻は開くのか?
楽しかったけれどまさかの任務突っ込んできたかー、と腕を組み遠くのキリンを眺めていると見たことのある従業員がこちらにズンズンと近付いてくるのが視界に入る。
……やっべ、悟居ないにしてもここに3人居るしな…と私はこそこそと釘崎の横に立つ。でも隠れきれていない、そもそも釘崎よりちょっぴり私の方が身長が高かった。
「どうしたのよ?なんかあったの?」
『えっあー…その、ね…?私トイレにでもー……、』
説明しようにももうダメだ。従業員は小走りで私の直ぐ側にやって来てしまったのだから。
「やっぱり…みたらいさんだよね?」
もう逃げることが出来ない。
釘崎の好奇の視線を至近距離で浴び、私はがっくりと肩を落とした。トイレの方向を向いた瞬間に悟った釘崎は肩を掴んでぐりんっ!と釘崎に振り向かせる。
にっこりと笑った彼女は一言、"……で?"と催促してきた。
……。
「つまり、高校時代に付き合ってた先輩…とな?そしてみたらいのお兄さんがその関係を引き裂いた……」
「面白くなってきた」
『虎杖ー、そこ面白がるなよー?』
先輩を3人に、高校時代に少しだけ付き合った人と紹介し、3人を先輩に現在専門学校に通っているクラスメイトと紹介した。
もう昔話というか立ち話を切り上げて先輩には仕事に戻って頂きたい、でないと悟が戻ってきたら嫌なことが起こりそうな気がする。
釘崎に視線でちらちらとまだ悟の出てこないドアを目配せするも目が楽しんでいる。
そんな切り上げられる事なんてはっきり分かる言葉にしないから、目を輝かせた先輩は久しぶりであるからかマシンガントークになり、虎杖と釘崎はそんな先輩に食らいつく。唯一伏黒だけだよ、悟が来ないかチラチラ確認して気にしてくれてんのは。
ここらでお開きにしてもらおう、と愛想笑いを引っ込めて申し訳無さげに告げた。
『じゃあ先輩もお忙しい様なんで、このへんで…』
「ああ、そうだな!……しっかしみたらい、綺麗になったよな!あの時お前のお兄さんに屈してなかったらまだ付き合ってたか、今の嫁さんじゃなくってみたらいだったりしてな!」
……この先輩、とんでもない爆弾(エサ)を置きよった。