第10章 末裔の貝殻は開くのか?
よし、ビールに焼き鳥、最高な組み合わせだ。女3人の前に重たい大ジョッキを並べて、家入のジョッキに向け3つのビールがぶつかりあった。
『「「はい、お疲れ様~っ!」」』
****
「はぁ~?嘘でしょ?あの男と結婚……?正気なの、ハルカ?」
最近の学校の話やら趣味の話としてきたけれど、話がそういう話になってしまって。
私は近々結婚するという話をした。これについては硝子にはそんな話を前から話していたけれど彼女の心配していた通り、結局流されるように悟の手の平の上…そうなっている気がする。
ぐびっ、とねぎまで満たされていた私の口にビールを流し込んだ。
『……はい、そういう事になります』
「ほ、ほほほ本当に大丈夫?だって五条……もっと深く考えた方が良いと思うわよ?」
心配するのも無理はないよねぇ。どういう意味での心配なのか分からないけれどちゃらんぽらんだったり、女性関係だったり、色んな意味で悟…他人との間に溝作ってるし。全自動無限を展開してる所は知ってる。
きっとこの歌姫もなんかしらされたか、嫌な思いをしたんだろうなぁ。
私と歌姫の間に居る硝子が取皿に焼き鳥を箸で串から取り外し終えて、串入れに2本突っ込む動作を眺めながら、私も串を一本串入れに突っ込んだ。
手がベトつくからおしぼりで指先を拭う。
『心配事も多いですけど、女関係全部断ったって言ってましたよ、そこまでされちゃ本気なんだろうって。
……あと、春日の本家も五条家で買われたしもう退路も無いし別に悟を嫌いじゃないっていうかその……まあ、ウン…嫌じゃないので…ムカつく事もありますけど』
ここで好きなんて言うのは恥ずかしいし…。嫌じゃない、と言えば驚く顔をしながら歌姫はビールを口に流し込んでる。
周りから攻めてくるよなあ、悟。気が付いたら退路が無くて、私も悟を本気で好きになってて。どうしようもなく愛してしまっていて。
交際から結婚までの期間が問題だと思っていたけれど、期間なんてあまり気にしなくても良さそうで。
でも今は思い出が作れる、そのデート10回という猶予をめいいっぱいに楽しませて貰おう。
明日はデートだし、今日は飲酒量はほどほどにするつもりだけれど、この女3人の飲み会、いろんな話題があってめっちゃお酒が進む。すっごく楽しい。