第10章 末裔の貝殻は開くのか?
「なんでって……そりゃあ僕らの関係性を一番理解させるにはもってこいじゃん?」
『もってこいってねー…』
頬とかさ、ソフトにキスなら分かるけれどディープなのはどうなのよ?ちゅっ、じゃねえんだぶっちゅー!ってヤツ!いくらなんでも親の前では恥ずかしいんじゃ!と拳を握り締める。悟は笑窪を作ってにっこり笑った。
「結婚式とかしたらみんなの前でキスするじゃん、予行練習ってことで!」
丸め込もうとしてねえか、これ…?と見上げると、悟は私の額に軽く口付けてアイマスクを装着する。いつもの教師モード、というスタイル。……なにそれ、なんだか力が抜けちゃう。
私は離れたというのに熱を持っているような自分の額に手を触れ、悟の袖を引っ張った。
なんで人前であんな激しいキスをして、ここでは額に軽くキスするんだ?
『……悟は人前じゃなくて見られてない所ではそうするんだ…』
なんで今は額なんだよ、と思ってそう発した言葉だったけれども言葉に出した今になり、ポカンとしてる悟の顔を見て気が付いた。
これって。言い方を変えてみれば"人目のつかない今は額じゃなくて唇にキスしろ"と言ってる事にならないだろうか?
自分で理解してしまい少し苦笑いを浮かべた所で、悟は私をしっかりと抱きしめて領域内と同じくらいに深い口付けを求めてきた。