第10章 末裔の貝殻は開くのか?
「もちろん、ここに来させるのならよぼよぼの婆さんにするまで長生きさせるよ?僕は最強だからちゃーんとハルカを守るし……どちらかが死ぬその瞬間までしっかり愛すよ?」
肩を抱き寄せる力が一瞬強くなって。
私の母が笑ったのが見えた、と思えばその私の視界にねじ込むように入ってくるのは悟の顔。何が起こったのかだなんて背や頭を抱き寄せる腕と侵入してきた口内で理解した。
『んっ、むぅ~~~~っ!!?』
"おやおや、お熱いねー!"
見えない位置からの母の言葉。急いでその悟の胸を押してもびくともしない。あの角度を変えてひたすらに唇を貪る、いつものやつ。
私の後頭部から抱え込む様に口付けられていて空気も唾液も奪われるように悟の舌が攻め込んできていた。
しっかりと母や先祖達の前で悟は深い口付けを見せ付けて、止まることが出来ないと知って慌てた私は、キスをしたままに急いで領域から高専へと戻った。
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「……っは!もう見せんの終了?…あっ、お義母さんに招待状ってどうすれば良いんですかー?って聞くの忘れちゃったな…」
『っふー……領域内全員死んでるでしょうが』
領域から戻って深い口付けから開放された。呼吸を整えながら自身の手ぐしで確認すれば、あんなにも白かった髪は亜麻色の髪に戻っている。視界に入るサイドの髪をつまめばそこは美容室で染めた白。そろそろ部分的に伸びた地毛の部分を染めたい所……。
これでまた私は死ぬことなく生きる事が出来るのだけれど。
腰に温かい手を回す悟の顔を私は見上げた、小さな舌打ちをして。
『ねえ、悟?なんで私の親の前でキスしたの?拒否ったよね、私』
悪びれる様子を微塵も感じられない悟は、首元のアイマスクに指をかけたままに私に微笑みながら見ている。