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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第10章 末裔の貝殻は開くのか?


しゅるるる、と手より先へと伸ばした後に一気に左右へ押し開け、払い除けた。
ギャア、というややしゃがれた声やキャアという若い声、様々な短い悲鳴を上げた隙に母の閉じ込められた場所へと約十数歩。私はようやく繭の所に駆けつけた。悟もズボンのポケットに両手を突っ込んでひょいひょいと軽い足取りで着いてきて来てる。
横からの伸ばされてくる式髪を悟は払い除けながら来ていたみたいだった。

「親子の再会くらいさせてくれたって良いのにね~?」

伸びてくる式髪や叩きつけられるような式髪を無限で止めて、悟は私を見た。

「おじゃま虫はこの五条悟君に任せなさい!ハルカはお母さんに集中して」
『あ、ありがとう、悟……』

にこっ、と笑った悟がいつもよりも頼もしい。気にせずいられるのならと私は母が居るであろうその場所に触れる。繭の中はんーんーとうめき声がして、式髪というにはやけに硬い繊維質。
思い出すのは私が髪と血が呪われてると聞いて、血液を使って実験をした時の事。血に染まって居ないけれど術式の開示の少し上を行きそうな硬さ……。振り解いたりなんて出来そうもないね、これは。

悟は私の様子を見ながら先祖の悟への攻撃を弾いていた。そうか、ずっと一緒に過ごしていたから薄れてきてたけど悟は無限を使える。それは余裕そうに弾いていて悟も見ながらじゃなくて良いだろ、というレベルだと判断したのか(そもそも先祖も敵対心というより止めようとしてるみたいだし)無限を発動しながら私を覗き込んでる。

「で?どうすんの?僕の出番?」
『いいや、悟に頼らず自力で行こうかと…、』

チィ…とチャックを開けたウエストポーチ。
手探りで取り出すのは服を楽に切れる裁断用のハサミ。それを悟に見せた。

『こちら、ただのハサミです』
「だねぇー、あれ?これは通販のノリかな?」

別に通販のノリでは無いのだけれど。
そこにハサミを持つ手首や指からするすると式髪を召喚して這わせていく。

『はい、こちらに"怒髪天"を巻きつけると呪具となります』
「すごいわサム!インスタント呪具じゃない!」
『そこに更に、私の…っ、』

大きく鋭いハサミ。先端で自身の手の甲を傷付ければ血が溢れだし、呪具となっている二枚の刃にコーディングされていく。真っ赤な刃を持つハサミとなった。
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