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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第10章 末裔の貝殻は開くのか?


77.

急にふわふわとした緩い空間となってしまった。
熱い抱擁から離れ、悟は椅子に座ってこちらを見ながら表情を緩めてる。多分私も緩くなってるんだろうなぁ、だなんて。
伸ばした手が何度も私の頭を撫でる。気持ち良いものだから身を任せてしばらく撫でられていた。

「ハルカ、」
『…ん、なに?』

ふわりと笑みを浮かべた悟は頭を撫でるのを止め、自身の携帯をポケットから取り出した。
何をするのやら、とその行動を見守る。

「ねえ、ねえねえねえ!せめてさー、指輪だけは先に作りたいなー!」

少し前まで怒っていた悟はどこへやら。デレデレとしながら白いボディの携帯を操作している。
この流れだと指輪のサイトとか調べてるんだろう。

『指輪……』

急に実感が湧いてくる装飾品だ、お洒落とかじゃなくて一生モノの。悟が画面や私の顔をちらちらと交互に見ながらスクロールを繰り返してる。いつもよりも表情がだらしなくて彼もこんな風に浮かれるものなんだなって思ったら、そんな彼をすぐ隣で居る自分もちょっと浮かれちゃうよ……。

「やっぱよく聞くやつかなー…ほら、通称"給料3ヶ月分"ってやつ?それくらいの予算で決めた方が良いのかなー…
僕の給料じゃ4本指に通すプラチナに宝石ごてごてのメリケンサックになっちゃうかな!特級呪術師の給料は高いんだぜ?」
『シンプルにしてくんない?なんで誰かを血祭りに仕上げなきゃいけないのさ』

脳裏に思い浮かべるはキラキラとした変色変質しないプラチナのメリケンサックに殺傷能力を高めるようにどでかい宝石が着いたもの。私は悟にどういうイメージを持たれているのやら。父親や兄は喧嘩に強かったろうけれど私は家族以外とはそういう格闘術はしないっていうのに。宝石ごてごてって。湯婆婆か?

悟は私の"シンプル"な事を希望するとその部分のみを受信してしまったようだ。目も口も丸くして驚いている。

「えっシンプルなメリケンサックで良いの?」
『指輪。リング。薬指のみの指輪。いい加減メリケンサックから離れろや、私はストリートファイトするつもりはないんだけれどなー?』
「へー…参考にしとく」

……大丈夫かなぁ…、また違う部分を抜き出して参考してないよね?少し不安になる中で彼は携帯をしまい、悟は椅子から立ち上がった。
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