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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第9章 五条求婚する


あれ、私懐中電灯取り出す時にファスナーきちんと閉めてなかったんだっけ。朝に悟に渡された白い封筒がバッグから今にも落ちそうな程に飛び出してる。
ちら、と自身の両手を見る。反転術式のほとんどがぶら下がる事に使われていてバンザイの状態で手放せない。
じゃあ、術でなんとか取るか…、色々な事に使っていて最近器用に扱えるようになってきたし。
集中して、するすると蛇のように狙いを定めた式髪が私の手首からウエストポーチへと進んでいく。せめて押し込んでファスナーをしめよう。

『……あ』

明かりの無い天井の方でバキッ、と嫌な音を立てて、大きめな瓦礫が目の前を落ちていった。位置が位置なら回復どころか死んでいた。ゾッとする瞬間だった。そしてその後はもう、多くの体重を支えていた天井部分から解き放たれてバランスを崩した体が揺れる。
揺れた拍子でかさ、と音を立てて封筒が真っ逆さまに落ちていった。
異変に気がついた真希の走り寄る足音が近付いてきてる。

「大丈夫か、回復が済んだなら…──」

……。
自分に問いかけてる。分かってる、どうせ予備はいくらでもあるんだ。でも…朝貰ったあれはたったの一枚だけ。
大きな封筒に入ったものも、キャラクター物のクリアファイルに入ったものも、封筒にまた入れられたものもノートに挟まったものも、ロッカーに入れられてたものも全部悟が手書きでこそこそと準備してた物。
今、落ちていったものだってきっと書き終えて、畳んで…白い封筒に入れた後に子供向けのシールを楽しげに貼ってたんでしょ。

……あの、馬鹿。
そういう所だからな、五条悟。

ガラ、と別の場所が崩れる音と一緒に私は"怒髪天"で自身をぶら下げるのを止めた。各箇所に突き刺していたものがどんどん外れて術式を解く。次はぶら下がる事ではない、落ちる時の衝撃に備えて形状を変えないと。
つまりは落ちる事を私は望んだ。

覗き込む3人が目を見開きそれぞれが手を伸ばすけれども届くことはなく。
私は一応今回の補佐だし、囮だし、あまり強くないってのは分かる。大量に祓うよりも大量に治す(負を回収)する方が得意な事なんて知ってる。

「んの馬鹿ハルカーっ!」
「いくら!」
「トラブルメーカー落ちやがった!」
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