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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第9章 五条求婚する


車内で見た見取り図を思い出す。いくつか分岐する道はあったけれど真希は呪具でまっすぐと伸びる塗装の道、奥の方を指した。長物の為、風を斬るブンッという音がこの奇妙な静けさには大きく聴こえて。
いくら別荘地とはいえかつては人気で、客数を多く取る為か入り口近く程こじんまりとした建物が立ち並んでいる。
そんな家が立ち並ぶのに静かで、人間は居ないはずなのにねっとりと纏わり付くような所々からの視線が気持ち悪い。

「一番噂で恐れられたのは殺人のあった別荘地だろ、大本がそこで違いない。ちゃっちゃと終わらせてとっとと帰るぞ!」
「おうよ!」

勇ましい前方の真希と後方のパンダにうんうん頷けば、隣で歩く狗巻はしゃけと答える。
これは手慣れた先輩方の任務が間近で見られる。特に真希の呪具の扱いはどんな武器であろうと見学がしたい。素のままの私には武器が必要だ。もしもの時の為に学ばないと。普段の体術よりも実践で見られるのはありがたくて。
防御面なら前に実験した、自分の血液を使えばなんとかなるでしょうし。

ぎゅっと握りしめた拳で私は生きる為にと先輩方に紛れていった。
この時はまさかあんな事になるなんて。
パンダの体術を、真希の呪具捌きを、狗巻の声があればきっとこの任務も皆で揃って車に乗って早く帰れるんだろうって。
私はそう思っていた。
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