第9章 五条求婚する
暖かくて柔らかい。ちゅっ、ととても小さな音がなんとも可愛らしくて離れてしまった唇が名残惜しい……。
『ん、その……野生を帯びた…、だなんて私ヤンキー設定から原始人にされてるワケ?』
「違うよー?キミはほとんど冷静でいるけれど、そう簡単にハイにならないでしょ?……あっ、夫婦漫才みたいな時のハイになってるのは別ね」
『ツッコミって言えよ、私悟と夫婦漫才してるつもりじゃないんだけれど?』
ちょっとだけ笑ったハルカに朝から攻めている件を思い出す。忘れてた訳じゃないけれど。
「僕の言いたいことは自分を解き放てるようになろうぜ?って事。
ところでちょっとー!夫婦漫才といえばいつ夫婦になってくれるの?結婚しよって朝からずーーっと言ってるじゃん!結婚しよ、結婚!」
不服だと表情に出して現在物理的にも、本家や実家でも逃げることの出来ない状況だというのを知らないハルカはうーんと唸る。
悩んでも結局はレールの上。ハルカは僕だけの物なのは確定。
今すぐにでも手に入れたい。春日だからじゃなくてハルカを愛してるからこそ手に入れて僕のモノだという証明をその名前に、薬指に、命に刻みつけたい。
そんなケダモノのような乱暴な動機を表に出さず、その少し焦る可愛い彼女を見つめた。
『私……早すぎるって言ったじゃん?出会いから結婚までどんだけ早いの…りっぱ寿司の新幹線ばりにものすごい勢いで婚姻届が届きまくって机に溜まってくんだけれど?』
にひっ!と彼女に笑いかけてやった。
まだまだストックがあるなんてきっとハルカは知らないだろうな。僕を嫌いじゃないと態度で理解してるから後少し押せばイケるとは思うんだけれど、彼女は交際期間の長さがとても気になってるって事か。
「うん。でも結婚に早いも遅いも無いよ、何ヶ月だろうと僕はハルカを愛してるぜ?」
ぶわ、と赤い耳がなんとも可愛い。
そっと顔を近付けて耳を唇で少し食む。熱くてビクッ!としたハルカはちょっとだけ怒った。
『もうっ!油断も隙もない!
……で。は、話の続きなんだけれど出会って交際して、結婚まで早いってのもあるけれど……あのね、』
「もじもじするの可愛いからやめてー?ここでハメたくなっちゃう……」
『あのさぁ~…?』