第9章 五条求婚する
「あー…五条先生からみたらい宛に重要書類だからと。しっかり確認するようにだそうだ」
『…はい、確かに。重要ですもんねー…』
受け取って速攻机に入れる。中身は見ずとも知っていた。
そんな私の様子を囲んでたふたりは自席に戻りながらしまうのかよ!と突っ込んでいるけれど。
『いいんだ、中身知ってるし……』
「「「「…?」」」」
キョトンとする私以外の人達。
重要書類っていっても高専に関する書類なんかじゃない。私はそれを理解しての行動だった。
──そう、これは遡る事、朝のホームルームからの話。
「グッモーニッエヴィワッ!」
『なんだそれ、ダァシェリエス!みたいだな…』
アイマスクをした悟が朝の一年の教室にやって来た。
いつもやって来る時は手ぶらの時が多いのに今日はなんだか書類だのノートだのいろいろ抱えてる。そんな彼の様子を見れば今日は黙っていれば教師らしいな、と感心していた。教師としての仕事もしてるんだな、と。
……うん、彼氏が教師っていうのも悪くないな。今日初めて思ったかもしれない。
「グッモーニッエヴィワッ!」
「完全再現かよ…」
「おはようくらい普通に言えよ」
虎杖の再現に釘崎、伏黒と続いて虎杖の元気な号令でホームルームが始まった。
いつもと同じ様な普通の学校の始まり。今日も穏やかで過ごせそうだと窓の外を見る。空は晴天で雲ひとつ流れていない。
「──で、午後は体術だからね!明日は朝から課外授業だから忘れないようにねー…、あとハルカ、これ書類ね。提出物だから」
抱えてた荷物のうちからひとつ、スゥ…と渡された大きな封筒。封筒の下には高専のロゴや住所等が書かれたもの。それを受け取って中身を考える。
皆と時期がズレて入ったもんだし、成人って事もある。健康診断とかかな…?
防災アラームの点検に業者が入るという連絡を続ける悟。それらを耳にしながら封筒を観察する。表も裏も何も記入は特にされてない。提出物、他の3人には無いからなぁ…と、封筒を上から覗くと何か枠とか見える紙。
私が式髪で治療してるから家入関係かもしれない。それとも悟、春日家買ったからそれ関連かも。太ももに封筒の端を乗せて中の紙を途中まで引っ張り出す。
その私の予想はどれも外れていた。