第8章 スキルアップ
……結局この人のレールの上でいろんな事が進められてる気がするなぁ、とベッドの上でふわふわの髪を何度も撫でながら私は口を尖らせている。
なんだこの白ポメは。うっとりした表情して!性欲旺盛なのってだいたい高校生くらいなんじゃないの?成人してしばらく経ってるのにねちっこくて長いのだけれど!
ふと、薄明かりの中でゴミ箱を見る。
悟が乱雑に捨てたであろう使用済みの根元を結んだコンドームがいくつか捨てられているのだけれど、ゴミ箱に入れられず床にべちゃ、とひとつ落ちていた。
手の届く範囲だしチッ、と小さく舌打ちして摘む。覚えてたら明日、床を拭かねば。べとべとしてるのは私がそれだけセックスに興奮して濡れてしまったのだと思うと恥ずかしくなってくる。そして中に溜まった白い液体は悟がフィニッシュ時に出したもの。
そのコンドームを見ていると、繁殖期の動物そのものみたいで恥じる反面、確かに悟との交わりは快楽がひっきりなしに襲ってきて大変良かった。良かったのは良いけれども無理な体勢が続けば腰も痛い。特に悟は向かい合うスタイルが好きで脚を広げさせてズンズンと腰を振る。興奮も最高潮になれば痛いと言っても奥を力のままに突く。
今じゃ頭や下腹部は満足感を得てるけれども一部分…そう、悟ががんがんに突き刺した最奥部が行為中痛んだ。
ぷらん…としたそれをゴミ箱に捨てティッシュで指先を拭い捨てて、薄眼の悟の頬を軽く摘んだ。悟が眉を下げちょっと困惑気味になってる。
「痛いよ、何?DV?ドメスティック・バイオレンスなの?」
『なんでセックスの度に記憶がリセットされてんのさ。奥が…その、子宮んとこが突かれると痛いって毎回言ってるじゃん』
最中の悟は"痛い中でも気持ち良いでしょ?"と良い声で囁いていた。痛い中というよりも時々痛い部分から外れた位置であれば……本当に時々イイ所を刺激してくれれば良いけれどもいつもイイ所とは限らない。
もう一度むにっ、と摘むと口元を曲げて悟は挑発的な笑みを浮かべてる。薄明かりでも綺麗なスカイブルー。その蒼眼を私はじっと見ていた。
「そんなに文句言うならさ。じゃあ、明日ハルカが跨ってキミから色々と教えてよ。出来るでしょ?ハルカ主体のえっちをさー…」
『……はぁ?』