第8章 スキルアップ
『……はいー、終点の呪術高専、呪術高専になりますー』
「しゃけ」
「止まるボタンとかねぇからな?」
面倒くさいから車庫までやって来て、バックで車庫入れする。
そして買い物したものを手に取り、反転術式でしゅるしゅると自身に買い物袋を巻きつけたり棒状に整形してそこに袋をぶら下げたりして寮へと歩き始めた。鍵の返却は荷物を置いてからにしよう。
なかなかに楽しめた休日でございましたっと!
ミノムシ状態の私が寮方面へと進む所で、背後からため息がいくつか聴こえる。
「もったいない使い方してんじゃねえ、ケツに蹴り入れんぞ!」
『暴力反対!いっいや、だって高専内ですし…?』
「いくらなんでもその荷物だし、運転のお礼に運ぶわ!……ほら、ここは先輩3人に任せな!」
『ありがとうございます…』
と軽々と荷物を持っていかれ3人が手伝ってくれる事は嬉しい。フードコートの事なんてなかったことになっちゃいそうだ。
けれども荷物を持って寮の前で、やや怒り気味に真希が"早く開けろや"には焦った。しかしここに荷物を置いてってなんて怪しまれる。余計に今度は部屋ん中見せろや!コールが始まり、ドアを破壊されかねない。
手汗と体温で可哀想な事になってる部屋の鍵で玄関を開けると3人は部屋の主より先に入っていった。おじゃましまーす、だなんて。もう終わりだぁ…!
「……なあ、ハルカ」
『……はい』
靴を脱いで行けば、最近は壁にストッパーを掛けて自由に行き来出来るようになった、通路を指差す真希。若干引いている。
両手で制止して私は首を振ると、真希もパンダも狗巻も首を振る。そして荷物を置いて殴りかかりそうな体勢とチッ!という舌打ちで私は首を横に振っていた首を縦に振らざる負えなかった。
部屋に住むと決まった時から、学生になる前からの事だと聞いて3人はその壁についての疑問を知り、満足した表情をしてその場から足取り軽めに去っていった……。