第8章 スキルアップ
「しかし1年に免許持ちが居たとはなー」
『社会人からの呪術の覚醒ですもん、普通に生きてて取ってた資格が役立ったって事で……
チッ、タダじゃないんかい!』
サービス券使っても400円も取られてしまった、と駐車料金を払って地下駐車場から地上へと上がっていく。
薄暗かった駐車場。人が多く集まるってんで呪いも居た。しかも一直線に私に向かってくる。そんなギフトは要らないって思っても一族がそうであるから仕方のない事。
ただ今回、休日に先輩方と居て良い情報を得ることが出来た。
──それは狗巻の呪言に関してだ。
それを閃いたのはパンダ。近付く呪いを見てピンと来たらしい。
とりあえず狗巻はファスナーを下げてこちらへとやって来る低級の呪いに"捻れろ"と声を発した。
ペシャ、と立て絞りした雑巾のように捻れた相手。それを見て呪言はこういう影響があるのか、と感心する私にパンダは私を指差した。
"今の棘は呪言を使ったからな、喉がやられてる"
"じゃげ"
ああ、本当だ、呪言ってのは声を出すだけで相手を呪える手段としては楽だと思ったけれどこういうリバウンドがあるんだな、と感じまた、パンダの言いたいことを理解して狗巻の腕に触れた。
つまりは治せるのかという試運転。
少しして手を離すと、真希が狗巻に顎でしゃくる。
"こんぶ"
"……はっ!なるほどね!それでハルカは吸い取った分を術式で吐き出してしまえば良いって事か、パンダ!ハルカが一緒に任務に加われば棘には薬要らずって事だ!"
聞くに普段の喉がやられた時は薬を飲みながら対処していたと。それが私が術式で触れて治療の出来る私が治してしまった、と。
この件を知ってしまったからは"もしかしたかそのうち、任務に連れて行かれるかもな"…と真希は呪具で更に近付く一体を祓ってにっ!と笑っていた。