第8章 スキルアップ
パンダは仲良くても流石にショッピングモール内で一緒には……
……視界に大きな白と黒。一緒に居ないよなと思ったら居るんかい!と割り箸でつっこみたい欲を丼に当たれば海老天がサクッ、と音を立てる。
……出来たてなんだし食べよ。
カリ、さく…っ、軽くて良い音とご飯の上の甘めのタレが相まって幸せになる。これが周囲の普通の賑やかな中なら充分に美味しかっただろうけれど、隣の空いた机をパンダがガガガ…、と音を立ててくっつけている。食事どころじゃなくなってきたな、と私は箸を止めた。
二人席は四人席へ。片手を上げて挨拶するパンダに、咀嚼する口元を隠して手を少し上げた。
「ハルカも買い物か?奇遇だなー!」
『……パンダ先輩、こういう所普通に歩いて良いんです?』
「大丈夫大丈夫、気ぐるみのふりしてっから」
そういう設定でイケるのか…、とお昼を目の前の狗巻、その隣のパンダが摂り始め、私の席の隣に真希もやって来た。
2年も固まって休日過ごしたりするんだな…。ちなみに今日1年のクラスメイト達は釘崎は買い物へ、伏黒は用事があるとかで、虎杖はゲームしてると言っていた。
「よう、ハルカ。ひとり外出して良かったのか?」
定食を私の隣で食べようと口で咥えた割り箸をパキ、と割って手に持つ真希。
私がひとりで外出する時は気をつけろという件は1年だけの情報かと思っていたけれど、他の人達にも伝わっていたみたいだ。
携帯を片手で操作し、悟とのやり取りを見せた。車の話の所までスクロールしてある。
『車で来てるのと、気をつければ良いって事で許可を得てますので』
「ふーん…許可済み…
ほー…?なんだコレ、黒とか青とかっていうのは?」
『あっ…それは気にしないで下さいネ、ウン、私物ノラッピングノ色カナー』
すす…、と携帯をしまって天丼を普通に食べ始める。
買い物袋は小さくして鞄に詰め込んであるからどの店舗かっていうのは分からない。したがってこの返答で充分ごまかせるはずだし。
目の前の狗巻の席では並んでいた4つのおにぎりが2つになっている。パイセンいつ食べたの!?
さくさくとしたれんこんを齧り、タレの掛かったご飯で追撃させる。芋天は最後の締めにしよう、だなんてさっきの下着の色については私の頭からとっくに抜けていってる。